非暴力平和隊・日本

非暴力平和隊実現可能性の研究【第3章 第4節】

第3章 現地諸関係の最善の実践例

ドナ・ハワード、コーリー・レヴィン

3.4 非暴力平和隊のための結論

3.4.1 チームで働きチームで生活する

3.4.1.1 チーム構成

チームは次のような構成で、NPの哲学が最も反映されるだろう。さまざまな年齢、バランスのとれた男女比、そして文化の多様性を持つチーム構成だ。共通の言語はチームにとって基本的な要素だが、少なくとも、さらに小単位のグループでは共通の言語を持っていたほうがチームを作り上げることを容易にし、対立を解決し、各個人の能力を意思決定に生かすことができる。多様性とバランスを考慮に入れるべきものには働き方や個性も含まれ、そこにはリーダーとそれに従うものが存在する: 緊迫した状況を引き受ける者、一人で活動できる者、集団をうまくまとめることができるものなどだ。チームの要員たちは異なる文化、年齢、性別、個性を理解し受け入れるため、多様性についての訓練を受ける必要がある。

性別と文化の混合は特定の紛争や文化圏に配置されるときは個人が比較的安全であるように考慮しなくてはならない。もしNPがある地域に多数の人間を配置したなら、チームは小グループ、セル(とも呼ばれる)に分けられなくてはならない。そのグループ単位で独立して移動、活動するが、本部で決められた決断に従う。それぞれのグループで男女および様様な民族が一緒に居て、お互いに親しい関係にあることにより全員が平等に安全でいられる。同じように、各「セル」にはその地域の言葉と文化に精通したもの、年長者、肉体的に優れているものを必ず一人ずつ置く。

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3.4.1.2 決断

意見の一致(総意)は全員が参加して物事を決定する唯一の手段だ。その結果としてinvestmentがうまれる。しかしそれには限界があり、グループが大き過ぎたり、時間がたりなかったりすると、失敗してしまう。このような理由から、NPの全てのレベルで意見の一致は行われるべきだが、それは小さなグループ単位で、扱いやすい問題においてのみとすべきである。総意を得ることは緊急時や多くの人数が命令に従うときには使えないので、NPのモデルとしては現地で大きな組織を持つ平和のためのチームからは距離を置かねばならない。(?will have to move away toward from that of the peace teams toward that of lager organiztion in the field)

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3.4.1.3 新しいメンバーを紹介する

小さな規模のチームの検証から本当に明らかになったことはチームの原動力と一貫した仕事の中断は前もって行われる適切な準備や慣れるまでの適切な時間、完全なトレーニングなしで新しい人が入ってくるときには避けられないということだ。任命者は着任と平行してチームやセルの中で訓練が為され、カルチャーショックを克服するための適切な時間が与えられ、グループ内での固有の (assume)役割を見つける。

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3.4.1.4 対立

チームは内部対立についてしっかりと訓練され、解決のための効果的な方法が提供されていなければならない。対立が納得いくまで解消されなかったら、CPTの方針である、対立と苦情に対する対応法のようなものに従うことを奨励する。

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3.4.1.5 ストレス

ストレスは現場で働く者にとって不幸な現実である。チーム構成員たちは前もって危険性とトラウマについてできる限り現実的に知らされておかれるべきであり、訓練や支援、否定的な結果に対応する能力の向上の訓練を与えられるべきである。ストレスのいくつかは、例えば生活が親密過ぎるとか、使命と活動がはっきりしないとか、働き過ぎや気晴らしの時間がないなどは上手な対応によって減らすことができる。 フィリス・テイラーはWfPの人間で、チームを派遣するタイプの組織に、職員の家族についてもっと気を使ってもらい証人としての役割を果たすことに敬意を表してもらいたいと思っている (ディックテイラーのWfPの訓練マニアルには家族支援のセクションがある)。NPはメンバーだけでなくその家族にも任務中任務後を通じ本物の支援を提供しなければならない。

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3.4.2 地元の組織との関係

地元の組織と協力して活動することは仲介が植民地的な性格を持つことを押さえてくれる。協力先はその関心と非暴力での解決に指導力を発揮出来るかとを規準に選ばなくてはならない。NPはその後に現場に入り、自分たちの仲介業務を行う。協力関係は、(公式でも非公式でも)紛争地の両方の側と結ぶと解決に何が必要か、深いを展望を与えてくれる。そのことは、どちらか一方に偏らないようにするためには不可欠だ。紛争のどちらかに肩入れする場合、パートナーは全く居ないほうが良いが、NPの最善のモデルとしては「ただひとつのパートナーではなくいろいろな団体とのネットワークを作り、信頼関係を築き上げていくことである」。

NPは全体の適切なプレゼンスも含め、指導権を可能な限り地元民に見出し、しかし危険や仲介を計画することの意思決定は状況に対する知識や、以前の経験や組織が決めたふさわしい政策や戦術に従って行えるようにすべきだ。国際機関はただ存在するだけで期待感を持たせてしまうので、NPは地元の人たちに公正で期待を持たせないように訓練をする必要がある。

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3.4.3 INGOとGOとの関係

その場所での組織同士の協力関係を育てるために、あらゆる努力が為されなくてはならない。情報の共有、任務の分担、それに、例えばPBIとアムネスティ・インターナショナルとの外交的駆け引きのように。しかしそれぞれのグループがどれほど助けになるかということは協力関係を決定する前に評価されなければならない。これらの団体や個人にNPが関わることには用心深くならねばならない。彼らは援助を申し出てきたとしても本当は利益の開発が目的かもしれない。

抑止の任務は何を行い、誰が知っているかといった十分な情報の伝達に大きく依存することが多い。この情報を持って、初期段階ではINGOやGOに連絡をとる。

そこで疑問となるのが、NPはその役割を超えてどこまでそのネットワーク作りに努力し個人や組織を結びつけるかということだ。彼等の紛争解決と平和構築の努力がわれわれの仲介を賞賛するINGOと実際に共同するのだろうか。

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3.4.4 NP理事会との関係

高い能力を発揮するためにはメンバーが自分たちは本部から連絡を受け、支援されていると感じることは基本である。情報伝達は必ず双方向で速やかに徹底して頻繁に行われなければならない。責任分担が明確に行われるとともに、全ての問題においてアドバイザーに連絡をとり、明確な意思決定をする権利のあるものが存在すれば、このような意思疎通は信頼関係の頑丈な基礎となる。平和部隊の困難の多くは情報伝達のフローチャートがないことと関係がある。そこには責任とタイミングと情報の交換が明確に示されている。NPも大きな規模ではメンバーたちの自立性をある程度放棄し司令部は彼等の情報に耳を傾け、戦略の決定を下したり、支援したりしなくてはならない。

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3.4.5 現場への入国

NPには平和チームが入国する際の先例がない。観光ビザでは大きな組織は十分ではない。

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3.4.6 地元の言葉を使う(Facility?)

地元の言葉を流暢に話すことは必要だが我々は小さな単位でグループを作るとき、細心の注意を払って多様性を持たせることを標準としている。それぞれの「セル」や密接なグループは少なくとも一人はストレスのもとでも遠慮なく意思疎通のできる人間でなくてはならない。このような小さなグループは相棒のような関係を持ち一人は上手に話せ、一人は下手かもしれない。

NPの仲介任務で2つ以上の言語が必要な場合、「セル」には両方の言語に長けたものが一人居るかもしれない。

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3.4.7 最終的な疑問

最後に、以下のような疑問はどんな仲介の発展や配備においても思うことである。地元の政府との関係はどのようにあるべきか、戦闘中の党派との関係は?様様な地元の団体の中で、本当に認知された正統な者はどれか。ひどい不正や人権侵害が、片方や、全ての地元の派閥で行われているとき、組織は一方の立場につくべきか、またはそれは可能か?紛争中に仲介が見なおされるべき時はあるのか。地元の人々と共に活動するための最も良い方法はなにか。最後の質問はもちろん仲介の外にいる人々の心にあり、それによって、NPの意思決定が行われ、仲介のための部隊を結びつけなければならない。NPのような組織では正しいことはひとつだけであり、それは非暴力によう支援を行うという事であるという事実を忘れてはならない。他の組織のように、その永遠性を求めて活動するという罠に落ちてはならない。

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