非暴力平和隊・日本

Rumors of Peace 2001〜2004:第3号(2001年7月6日)

1.危機的状況における非暴力の役割(メル・ダンカン)

9月11日の襲撃とそれに続く暴力以来、私たちは、非暴力平和隊を発展させる私たちの仕事に対して二つの基本的な反応が寄せられている。もっとも多かったのは、私たちは、あなたたちがやっていることをやっているのが非常に嬉しい、と電話や手紙で、あるいは電子メィルで励ましてくれた人たちだった。あるいは、あなたたちの仕事はこの上なく重要でタイミングに適したものだった、というものだった。反面、あなたたちの平和隊は世界貿易センターの中の人々を守ることができたんですか?とあざけるものもあった。

私たちは暴力のらせんが加速されていることによって深い悲しみを受け、能力を試されている。私たちは、世界の歴史上もっとも頑強に武装した国が、9月11日にその市民たちを守ることができなかった、ということを知っている。私たちは、不正と憎しみによってあおられた一層の軍事化と武力攻撃は、さらなる暴力につながることを確信している。

最近アフガニスタンの上に襲いかかり、世界中の他の地域にも起ころうとしている無謀で残忍な暴力に対して、非暴力平和隊は完璧な回答ではないが、包括的な代替策の一部だ。テロに対してテロで報いる代わりに、私たちは勇気と情熱を持って聴くことが必要だ。テロに対処するには、憎しみをあおっているもろもろの事情に注意を向けなければならない。

アルンダティ・ロイは、アメリカにとっての第一ステップは、アメリカはこの惑星を他の国々と分け合っているのだ、ということをともかくも認識することだ、と示唆している。その他のステップとしては、イラクに対する経済制裁を解除すること、安全なイスラエルと安全なパレスチナをもたらす平和的な解決を達成すること、7,800億ドルにのぼる世界中の年間軍事費用の少なからざる部分を、住居、保健衛生、食糧、そして地域的農業と自給自足できる経済の支援に転換すること、ならびに国際刑事裁判所を設立すること、が含まれるであろう。

アフガニスタン国内での非暴力的介入のシナリオが、インターネットを通して多数流れているが、どれも現実の状況に根ざしていない。私たちは、善意に満ちたリュックサックを背負い、良いことが起きることを期待して複雑な暴力的状況の中に落下傘で降りることはできない。以下にリポートされているように、私たちの報告はまったく反対のことを示している。

逆襲する代わりに私たちは、暴力紛争の地域で人命を守ることができ、公正な解決がなされるための場を作り出すことを支援できる、良く訓練された効果的な非暴力平和隊を組織するために時間を割き、訓練を続ける必要がある。それには時間と多くの人材とお金を必要とするであろう。

私たちはうまくスタートできた。世界中から何百人もの人々が非暴力平和隊を創設することに関わっている。成功した小規模の非暴力介入の実績をもとにして築いている。さらに、ディビッド・デリンジャーが言っているように、非暴力は今では、マルコーニやエジソンの時代の電気のようなものだ。私たちには進むべき遠い道がある。 私たちはまた、ガンディーが「非暴力は人類に賦与された最大の力だ。だから私たちは、おのおのの煉瓦を積むことは信義の行為であることを承知しながら、下向きの暴力のらせん階段を止められる本当に効果的な介入をすることができるであろう将来の信義を構築し続けよう」と語ったことに賛同する。

この10か月間にわたって私たちの作業グループのメンバーが、世界でもっとも暴力的な地域のいくつかでその地域のピース・メーカーから、彼らが何をやっているのか、非武装の民間のピース・メーカーの訓練されたグループから必要としているものが何かないのか、を知るために旅行して来た。CNNやその他主流のメディアに見られる特集記事との対極として、彼らの話を以下に3件報告する。

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2.ニュースでは知らされない人々

カンボジア

バン・シボルンさんは、コミュニティの中で平和と非暴力そして誠実と清廉さを育成しようと望んでいる人々すべてに霊感を与える模範的な存在だ。彼女は、カンボジアの村のレベルで、思いやりを持った非暴力的な暮らしを求めて、紛争解決、黙想および仏教の戒律を教えながら活動している。彼女の努力は、彼女が活動した村々に具体的な変化をもたらして来ている。

1992年にマハ・ゴサナンダとの平和行進に参加した後、シボルンは毎年、最低200人の尼僧と僧侶および平信徒たちが参加する一週間の平和行進を率いて来た。彼女らの平和行進の目的は、カンボジアの人々すべてに対する平和と和解そして教育、安全、健康ならびに連帯を呼びかけることである。

彼女は、タイとの国境に近いボンテアイチェイ地域の村のリーダーたちを対象にした2日間のワークショップを開いている。そしてそのリーダーたちは自分たちの村でのワークショップを実施している。そこで彼らは争いごとを検討し、紛争についてより深く理解することを会得する。

タイ

活動中の仏教徒の国際的ネットワークのウエイポーン・クアンケウは、アジアで平和作りとリーダーシップ開発のすばらしい訓練をおこなって来た。彼女は、非暴力による平和作りと聴き取りの技能を訓練し、構造的暴力およびどのようにして抑圧に打ち勝つかについて教えている。また、彼女は瞑想とヨガを教え、人々が思いやりと親切を愛する心を育てるのを支援することを探求している。

ウエイポーンは、タイの北部のチェンマイでビルマからの難民支援の活動をしている。彼女は、訓練課程に訓練者のためのトレーニングを付け加えているので、生徒たちは彼ら自身のコミュニティに戻ってから、学んだことを伝えることができる。また彼女はスリランカとチベットの尼僧たちを教えている。尼僧たちはその後、若者たちが消費者文化に加わり、現在の社会の暴力の中に捕らわれてしまうことへの代替案を提供しながら、高校で非暴力について教えている。

ウエイポーンはまた、チェンマイの中で女性に平和つくり技能を教える訓練センターを設立しようとしている。

インド

ラダクリシュナン博士は現在、ガンディー・スムリチおよび国際ガンディー研究調査センターを率いている。最近彼は、ガンディー研究インド会議の議長に選出された。ラダクリシュナン博士の最近の著書は、非暴力運動の様相についてのガンディーその他に関する何冊かを含んだ30冊を超える著書の後に続く「非暴力の火花」である。彼は現在「平和およびガンディー研究ジャーナル」、「ガンディー・スムリチに関するジャーナル」および「非暴力革命」の三つのジャーナルを編集している。

ラダクリシュナン博士は、ガンディー、平和運動、シャンティ・セーナならびに人権についての講座の講義と開設について世界各地の30を超える大学で、客員教授として招請を受けている。

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3.調査報告

NPの調査理事であるドイツのクリスティン・シュバイツァーに率いられた国際研究チームは昨年中、これまでに実施された第三者による非暴力介入についてきわめて包括的な研究をおこなった。専門家の一団がその研究を7月に審査し批評した。以下はその報告の要点である。

  • 人々は彼ら自身の平和のための条件を創作しなければならない。すべての非暴力平和隊の活動は、地域のパートナー・グループとしっかりとつながらなければならない。
  • 暴力紛争の起きている地域での非武装の民間人活動を実行するためには、良く訓練され高度に統制のとれた人々がもっと必要とされている。
  • 紛争地域における同行と存在ならびに国際社会の支持が、好成果の大規模介入のための可能性のあるアプローチである。提案された平和軍という昔のロマンチックな考え方のように、体を張って分け入ることが戦争を止めることのできる道具である、ということの証拠はない。しかし、しばしばおこなわれて来たように、デモ参加者たちと警察の間に割って入るというような他の形の介在はある。
  • どのような戦略も、あるいはミックスした戦略も、状況の前後関係によって決められなければならない。過去30年間に好成果を収めた大規模な民間人による介入はすべて、人種の壁を乗り越えた小規模のチームで活動するメンバーを広い地域に派遣している。
  • 現在軍事的平和維持軍によっておこなわれているほとんどの機能は、NPによって提案されている以下のような機能を、非暴力のピースキーパーに移すことができるだろう。
    • 観察、監視、停戦管理
    • 緩衝地帯の維持、安全確保合意の検証
    • 外交関係を持っていない関係者間の対話
    • 安全地帯の設立
    • 難民支援のための引き渡しの安全確保を提供すること
  • 抗争中の関係者すべておよび国際社会との強固で継続的な対話は、チームが現場に入る前に確立されなければならないし、活動を続けている間維持されなければならない。
  • すべての関係者が平和を望み、かつ、国際的圧力の影響を受け入れやすい状況が、好成果をおさめる非暴力介入のための最善の機会である。
  • 各派遣団の目標は明確でなければならないし、その派遣団に対する委任ならびにリーダーシップによってなされる決定に対する委任が与えらればならない。

調査報告の全容についてはまもなくウェブサイトに載せるのでご期待乞う。

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4.好機 -- あなたは今これまでになく必要とされている

非暴力平話隊が演説の訓練を提供

非暴力平和隊という代替策に対する人たち自身の希望と不安に関連して、人々を対話に引き込む方法を学ぶ。情報については平和隊事務所のパット・キーフェ(Pat Keefe)にお問い合わせください。
電話:651-487-0800またはe-mail:Pkeefe@nonviolentpeaceforce.org

非暴力平和隊ユース・フォース

平和隊と共に活動する若者たちのグループが、平和を支援する方法や非暴力平和隊のパイロット・プロジェクトに参加する若者を募集する方法を討議するために、頻繁に会合を持っている。私たちの若者グループに参加する方、あるいはこの運動の開始に対して支援くださる方は、どうぞマイケル・ポカワ(Michael Pokawa)にご連絡ください。
電話:651-487-0800またはe-mail:Michael@nonviolentpeaceforce.org

暴力に対する代替策である非暴力平和隊創設にご支援を

  • 弁士についてはご連絡ください。あるいはあなたが弁士事務局を作ることを支援します。
  • あなたのお宅で募金パーティーを主催してください。支援についてはご連絡ください。
  • 今日寄付をお願いします、金額は問いません。(アメリカ国内では税金控除されます)。それが世界を変える第一歩となるでしょう。
  • 翻訳、演説、募金係、執筆者、後援者、お祈りしていただける個人のボランティアになってください。

電話:651-487-0800またはe-mail:Marylou@nonviolentpeaceforce.org までご連絡ください。

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5.非暴力平和隊カナダがカナダの平和賞受賞

2001年11月11日、非暴力平和隊カナダは、第二期のカナダ平和賞の中の市民社会賞の受賞団体に選ばれた。カナダ平和教育センターにより毎年授与されるこの賞の今年の九つの受賞はこのグループのウェブサイトに掲載されている。
http://www.peace.ca/peacewards.htm

非暴力平和隊カナダの議長カール・スティーレンは「特に昨年の受賞者がメノナイト派中央委員会であったという理由から、私たちはたいへん光栄に感じています」と語った。

非暴力平和隊カナダの新しいウェブサイトは、www.npcanada.orgにセットされたばかりであり、「爆撃に代わる101の代案」という見出しの付いたTシャツとトレーナーが、11月17日のオタワでの G-20会議の外側で開かれる平和を求める非暴力集会で売り出す時に新聞に印刷されるだろう。

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6.2002年の焦点;パイロット・プロジェクトの準備

私たちは2002年中に非暴力平和隊のためのパイロット・プロジェクトを準備することになるだろう。その作業には以下の事項が含まれる。

  • サイトの選定:
    国際運営委員会は1月に、コロンビア、イスラエル/パレスチナ、スリランカを含む11か所の紛争地域のグループから寄せられている援助要請を3か所に絞る意向である。その後それぞれの地域に対する徹底的な現地調査をおこなう予定。
  • トレーニングの開発:
    私たちの調査の所見に基づいて国際グループは最初のグループを訓練するためのカリキュラムを開発中である。
  • 募集と選別:
    パイロット・プロジェクトの現役メンバーを募集し、選別するための計画を立案中である。
  • 設立大会:
    来年の秋に世界中の活動家たちが、非暴力平和隊を公式に発足させるために集まり、パイロット・プロジェクトのサイトを選定する予定。
  • 事業計画:
    事業計画グループは、NPの運営に必要とされる詳細計画を立案中である。
  • マーケッティング:
    広報の専門家のボランティアたちが、NPを主流に据えるために必要なマーケッティング計画を作り上げつつある。

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7.非暴力平和隊の使命に関する声明

民間人による国際的な常設の非暴力平和隊の創設を促進すること。この平和隊は、死と破壊を防止し人権を保護し、そうして地域のグループが非暴力的に処理しながら、対話に入り、平和的な解決策を探すための場をつくり出すことを目的として、紛争地域に派遣される。

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