非暴力平和隊・日本

Rumors of Peace 2001〜2004:第5号(2002年10月)

1.使命と目標

われわれの使命は訓練され、国際的連携を持った市民で構成された非暴力の平和隊を創設することにあります。平和隊は紛争地域に派遣され、殺戮や破壊を防ぎ人権を擁護し、紛争地域の人々が暴力によらないで紛争処理にあたり、対話により平和的な解決を図れるような環境を創ることです。
われわれの目標は常設の非暴力平和隊を作り維持するための体制をを築き上げることであります。非暴力平和隊は、当初は150人程度の試行的プロジェクトで始め、2010年までに2,000人の現役メンバー、4,000名の予備メンバー、5,000人の支援者を作り上げることです。

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2.11月末インドで行われる設立総会

11月29日から12月2日にかけてインドのファリダバッド(Faridabad)で、メンバー団体の代表、アドバイザー、オブザーバーなどが集まり非暴力平和隊を正式に発足させます。

現在までに確認されている講演者は、次の通りです;
Ela Gandhi(南アフリカ国会議員、Mahatma Gandhiの孫)
Samdhong Ri非暴力平和隊oche(チベット亡命政府首相)
Nozizwe Madlalala-Routledge(南アフリカ国防次官)

設立総会において、世界の各地域、各非暴力平和隊メンバー団体を代表する100名の代表は;

  • 国際的連携を持った(インターナショナル)NGOを結成し、国際理事会を選出します
  • 2003年半ば頃に開始を予定した、非暴力平和隊の最初の仕事としてのパイロット・プロジェクトの地域を選定します

設立総会の一環として次のような行事が予定されています:

  • Dalai Lama基金スポンサーのフォーラム
  • TRANSCEND共同設立者Kai Jacobsonによる非暴力行動についてのトレ−ニング
  • New DelhiのGandhi's Eternal Flame巡礼

半世紀より少し前、デリーでマハトマ・ガンディーはシャンティ・セーナ(平和隊)についての会議を準備している時、暗殺されました。それから50年にわたって非暴力平和隊の構想は世界の各地で顕在化し成長してきました。この構想に命と形を与えるために、来る11月には、Gandhiの孫であるElaを含めて世界各地から活動家がデリーに戻ってきます。同時に、非暴力平和隊の構想は、1948年1月ガンディーとともに死んだのではなく戦争に苛まれている世界に役立てる紛争転換の為の有効な手段であることは確かであります。 総会に伴う最大の支出は、補助がなければ会議に出席することが出来ない代表者達に旅費やその他費用を補助することであります。下記の住所宛に寄付をお願い出来ればと思います。

Nonviolent Peaceforce
801 Front Avenue
St. Paul, MN 55103
USA

なお、我々のサイトにオンラインで寄付をすることもできます。
どうか、下記をクリックしてください。
http://www.nonviolentpeaceforce.org/

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3.メンバー団体―現在50団体で増加中

非暴力平和隊の母体になるものは、非暴力平和隊の各国グループに加え、非暴力平和隊へのコミットメントの規準に合致した世界各地で公式に活動しているメンバー団体です。これらの規準は非暴力平和隊の目標を共有し、それぞれの地域で資金の調達、広報活動、リクルート活動や地域の行政機関に対して非暴力平和隊を代表することを含みます。

我々の目標は設立総会迄に少なくとも35のメンバー団体の参加を得ることでしたが、既に6大陸、25の国々から50もの団体が非暴力平和隊に参加しております。それぞれのメンバー団体は設立総会に代表団を送ることになっております。

最新のメンバー団体リストは、次をクリックしてください。
http://www.nonviolentpeaceforce.org/

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4.パイロット・プロジェクト

最初のパイロット・プロジェクトの実現可能性調査のため、9月に事前調査チームがイスラエル/パレステイナとスリランカに派遣されます。13の紛争地域のグループからの要請を受けて、国際運営委員会はこの二つの地域をパイロット・プロジェクトの候補として選びました。国際運営委員会は更に一つか二つの地域を事前調査の対象として選ぶことになるでしょう。調査チームは紛争に巻き込まれている様々なグループや個人と会い調査結果を11月の設立総会で報告する予定です。

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5.ベルギー

2002年5月、ベルギーのブリュッセルに非暴力平和隊の事務所を開設しました。ヨーロッパ事務所をブリュッセルにしたのは、ここに本部を持つEU委員会が紛争抑止の一環として市民社会と民主主義を支援し強化する必要性を認識しているためです。委員会はNGO、国連、そしてヨーロッパ以外の政府との国際的な協調が重要性であることを理解しております。我々は、究極的には、EUが非暴力平和隊の強力な支援者となることを希望しております。

ヨーロッパCoodinatorとして新しく任命されたRachel Julian女史は英国人です。Julian女史は1991年から平和運動に参加してきました。その中には、Women's Aid for Peace、バルカン・ピース・チーム、ZoeやSellafield Women's Peace Camp−Women Speak Outなどでの活動が挙げられます。更に、女史はthe Yorkshire Campaign for Nuclear Disarmamentで議長に選ばれ、国際平和ビューローの評議会メンバーを勤めました。

Julian女史は、EUでの仕事に加え、非暴力平和隊に参加しているヨーロッパの様々な団体のリクルートや仕事の調整を支援しております。

非暴力平和隊ヨーロッパ事務所は、ブリュッセルの中心部にあってベルギーの様々な平和団体、人権団体が入っている自前の建物内にあります。このことは、我々がこれらのグループと緊密な連携を取って、EUの紛争抑止と平和構築の政策を形成し前進させる為の良い機会となるでしょう。

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6.グァテマラ

5月に、非暴力平和隊国際運営委員会委員でミネソタ出身のドナ・ハワード女史がクラウディア・サマヨア委員に同行するためグァテマラ市に飛びました。サマヨア女史はグァテマラの人権擁護運動家であり、リゴベルタ・メンチュ財団の前役員でありました。以下はクラウディアに同行した3週間のドナの日記の抜粋です。

5月7日:
朝早く電話あり。「クラウディアが危険だ。出来るだけ早くグァテマラに行けないか?」これは非暴力平和隊のプロジェクトではない──非暴力平和隊はまだ正式に同行の任務のチームを派遣する資金も体制も出来ていないし、それに、自分はチームではない。しかし、クラウディア・サマヨアは国際運営委員会の委員であり私の友人だ:我々はお互いに助け合わなければならない。私は承諾した。

5月16日:
クラウディアの家族に会って感動した。この家族は危害を受けるべきでないし、クラウディアが危険であることを知りながら生活すべきではない。そこでの大量殺戮の裁判が準備され実施中であり、又、現在進められている殺戮現場の調査や発掘が、真相究明に参加しているすべての人々―─母であり妻であるクラウディアのような人々―─に差し迫った危険を作り出している。

5月17日:
私は、同行者として、効果的であるため出来るだけ存在をアピールし、一方家族、個人や活動グループのプライヴァシーを守るためには出来るだけ表立たないようにしている。同行者の存在は、安全を高め人権侵害の抑止を可能にし国際社会の耳目を向けさせることになる。定義された戦術としての「同行」の実践はここグァテマラで始まったのだ。「同行」はそのように認知され歴史的な権威を持っている;それは「手を出すな!」という意味である。

5月18日:
クラウディアの車は尾行されているので、私は運転しながらいつも見張っている。また出会ったときの為に車のナンバーを記録している。しかし、以前に見た車が見つかっても、そのようなナンバーに該当するような車はないとの返事が返ってくる。

5月20日:
会合は死体鑑識室で行われることがしばしばであるが、そこでは、ひどい嫌がらせや脅かしを受けながら死亡検案書の作成が続けられている。そこで、プラスチック・シートで覆われた机の上に丁寧に置かれた4人の小さな子供の頭蓋骨の写真をとることが許された。

5月21日:
クラウディアは週末も働く。彼女曰く、今では、全員が週末に働かねばならないと。彼女は疲れ知らずだ。このところ彼女は彼女の友人であり一緒に仕事をしていたGuillermo Ovalle de Leonの暗殺調査と、国連特別代表部に人権擁護者に対する嫌がらせの告発をする為の準備に大半を費やしている。それは極めて重要な仕事だ。彼女の命が危機にさらされるほど重要だ。

5月24日:
今朝、私は彼女の見張り役と初めて間近にはっきりと出くわした。彼は通りで待っておりクラウディアが近づくと何か合図をした。再び待って我々が去ると電話をした。すれ違うときお互いに相手の目をしっかりと見据えて「ああ、おまえが同行者か」「ああ、あなたが見張り役か」と考えながら。不気味ではあるけれども、それがグァテマラなのだ。

5月27日:
今週は大変な山場だ。国連人権特別代表のHina Lilanaがグァテマラでの虐待の調査のために到着した。昨夜、会議中に脅しの電話が4回あった。自分は神経質になり動転したことを認める。クラウディアは見事に揺るぎもしなかった。

6月3日:
ここでは大変多くの人々が危険にさらされている。アメリカ、カナダ、オーストリアその他の国々から一握りの同行者がいるが十分ではない!「もし我々のような者が100人いるとしたら、それはどういうことを意味するのか?」と私は危機に接している人たちに聞いた。その目論見(大勢の同行者の意味するところ)をたちどころに理解して、人々は非暴力平和隊のことをもっと知りたがっている。

紛争地域で用いられる防御的戦術が有効であることを彼らに示しはしたが、それらは必要とするに十分な割合で提供されたことはなかった。このグァテマラの地より、私はあなた方すべてに声を大きくして言いたい。

この構想を信じて、自分達が住んでいる土地で紛争の非暴力的解決に何が必要であるかを知っている人々を庇護することになる現実に向かって前進しようではないか。

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7.英国

今、世界各地から50のメンバー団体が非暴力平和隊の設立を支援しています。そのうちの一つは「ピースワーカーズ英国」であります。他のメンバー団体と同様、ピースワーカーズ英国は非暴力平和隊を支援するとともに自分たち自身の使命を持ちユニークな活動をしています。

英国では、ヨーロッパの国々で今行われている平和活動と同じように、ピースワーカーズ英国やその他の英国の諸団体が「英国市民平和活動」を展開しているところです。ヨーロッパ全体として、「市民平和活動ヨーロッパ・ネットワーク」やその他の団体と一緒になって「ヨーロッパ市民平和隊」(この提案は、既にEU議会で合意されEU委員会による実行待ちの段階にある)の設立を支援しています。国際的なレベルではピースワーカーズ英国は非暴力平和隊の創設を支援しています。

ピースワーカーズ英国の役員ティム・ウォリスは次のように書いています。

非暴力平和隊の実現にとってヨーロッパの資金的、政治的支援は欠かせないものであり、同様に、ヨーロッパ市民平和隊の実現にはNGOと政府の支援が欠かせないという意味でこれら3つのプロジェクト──英国市民平和活動、ヨーロッパ市民平和隊、非暴力平和隊──は相互に緊密に結びついていると考える。それ故、我々は英国であれその他の国であれ国レベルでの歩みが、やがて国際的レベルでの非暴力平和隊の創設への歩みとなるものと確信している。そして英国では目覚しい進展を見せている。過去6ヶ月の間に、我々は小さな調査主体のプロジェクトに過ぎなかったものからこの分野で活動している4つの最大のNGOの支援を受けた全国的な運動に発展した。我々は又、その他の20の英国の団体からの支援を受けている。我々のトレーニング部門は現在危険度の高い紛争地域に派遣される人を対象とした核心部分の基礎的トレーニング・プログラムを開発中である。英国外務省は来年このコースをテストしてみたいと表明しこのコースにEU資金を約束した。数週間前の英国下院での「旗揚げ」の大成功に続き、我々は外交委員会と国際開発委員会の両委員長を含め主要3政党から20名の議員の支持を確保することが出来た。我々は又英国軍隊から予想外の支持を得たが、彼らは、より優れた資質を持ちよく訓練された民間の団体に自分達がやっている仕事の多くを移管すことに本気で関心を持っているようだ。

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