非暴力平和隊・日本

第1回 非暴力平和隊・日本(NPJ)スリランカ・セミナーの報告

「スリランカにおける非暴力活動の役割と成果、今後の課題」をテーマに、6月26日(土)午後1:30から4:30過ぎまでの3時間余、東京・渋谷勤労福祉会館で「スリランカ・セミナー」をNPJ主催により開催しました。学生などを含め、約40人が参加し、大畑豊・共同代表の司会、清末愛砂・運営委員の通訳で、講師の報告と質疑を行ないました。講師と報告内容は以下の通りです。

  1. 澁谷利雄(和光大学教授、スリランカ研究フォーラム)
    「スリランカの政治状況」
  2. 小林善樹(NPJ運営委員)
    「スリランカでの選挙監視活動報告」
  3. 阿木幸男(NPJ運営委員、非暴力トレーナー)
    「非暴力トレーニングと非暴力平和隊」
  4. ニハール・ダヤス(NGO活動家)
    「最近のスリランカ情勢と和平への展望」
写真レポート

向かって右側から、阿木さん、小林さん、澁谷さん、清末さん、ニハールさん、大畑さん。上の写真をクリックすると写真が別のウィンドウに拡大されて表示されます。

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初めに、渋谷さんが、スリランカの歴史・近況について、4月2日のスリランカ総選挙後の国会議席分布などにふれながら報告。和平交渉の中断には二大政党間の権力抗争やシンハラ・ナショナリズムやタミル・ナショナリズムが根強くあること。また昨年末に死去した仏教の高僧ソーマ師の葬儀状況を撮影したビデオが映され、彼の死も選挙に利用され、「仏教原理主義の台頭」すなわち反キリスト・イスラム・ヒンドゥーの傾向が強まっている点を印象強く説明されました。

 ついで、4月総選挙の際、現地の選挙監視団体PAFFRELの求めに応じてNPJから監視活動に参加した小林善樹さんの報告。小林さんは、現地での活動の難しさとしてよく伝えられる「暑さ」と食べ物の「辛さ」について、「自分はもう歳をとっているから、さほど暑さなども感じなかった」などと、軽妙に話し始めました。体験した中では偽造の入場券を持って他人に扮して投票しようとし、投票を阻止された男がいたのだが、このような出来事はしばしば起きているらしいこと、今回の選挙は、殺人事件、傷害事件がいくつかあったものの、スリランカで行われたこれまでの選挙に比べると歴史的に穏やかな選挙だったと評価されていることなどが報告されました。

 次に阿木さんは、NPがなぜ外国から現地の平和活動に関わっていこうとしているかに関連して、兵器輸出データを黒板に書き、世界各地で起きている平和の破壊・暴力には現地の人々だけではなく日本も含めた世界各国が関わっている事実を強調。インド独立に向けてのガンジーの抵抗運動にさかのぼり、初めは10人、20人程度の小さな規模の非暴力活動が、大きな広がりとなって成果を上げてきた歴史をわかりやすく話されました。

 最後に、「シンハラ人・仏教徒」ニハールさんが、「タミル人の民族自決」を尊重する考えを明確にした上、平和達成にとって選挙と国会論議のプロセスが最善であることを力説。今回の選挙が平穏に行なわれた理由の一つとして、今まで国会外にいたLTTEが国会の枠組みの中に入ってきて議論する基盤ができたことを挙げていました(LTTEが支持するタミル国民連合が22議席を今回の選挙でとった)。そしてそのような動きの背景として、LTTEも武力闘争では解決できないと認識したこと、長年の戦闘で疲弊していること、国際世論等を指摘しました。また日本政府・NGOがスリランカに投じている多額の援助資金については、現地の人々の手元に正しく届いているか否かをきちんと把握する必要があることを力説されました。そして、スリランカの紛争を終結させるための支援を強く訴えて話を終えられました。

 会場では、小林さんが撮影した写真が展示され、小林さんがスリランカNPオフィスから持ち帰ったカラフルなNP帽子(1個千円)の販売も行われました。セミナー終了後も、多くのひとびとが去りがたく残っておられ、近くに場所を移してさらに2時間ほどの「二次会」を行いました。

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