非暴力平和隊・日本

「第4回 非暴力連続講座」の報告

10月2日(土)第4回非暴力連続講座「テロ・戦争と非暴力1――チェチェン戦争とテロの背景、イラクでのNGO活動の展望を考える」が開かれました

  • 司会兼講師は阿木さん(非暴力平和隊・日本運営委員)、講師は青山さん(市民平和基金代表・ピースネット代表)。
  • 参加者は、19人と少な目でしたが、講師からの多大な情報にもとづいて、議論できたことに満足されたかたが多かったようです。

以下概要です。

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第1部・チェチェン

  1. 阿木さんから、前置き:
    「テロの脅威」や「対テロ防衛」のみが喧伝されるが、テロの原因に目を向けることが重要。紛争の解決手段が他にない場合にテロにうったえる。現在の特徴は、テロの対象が本来の敵から不特定一般者に向けられること。
  2. まず1時間ほど、チェチェン問題をあつかった2本のTV番組のビデオ上映。
    (1)青山さんの解説からトピックをいくつか:
    ソ連邦解体のあとのチェチェン独立不成功の経緯/第1次チェチェン戦争の時はロシア・チェチェン双方の母親たちによる人間の鎖、という非暴力反戦運動/選挙監視団に3人を市民平和基金から派遣/現在は、NGO、マスコミが一切現地へはいれない/プーチンの、チェチェン紛争を利用しての権力拡大/テロ事件の陰謀説。
    (2)阿木さんの解説のトピックのいくつか:
    アフガニスタンの支配も、軍隊と傀儡政権によるもので民衆の支持なし/近年のメディア規制は厳しく、情報にかたよりがある/圧倒的な武力に対抗するのには国際的世論しかないというのが彼らの考え。
  3. その後、3〜4人のグループに分かれ、「いまわれわれに何ができるか」について議論。

第2部―イラク

  1. 阿木さんから、イラク医療支援のために8月にヨルダンを訪問したことが紹介され、そのあと、イラクでの戦争被害の数字、ブッシュ政権と石油利権の関連についてのデータ紹介。
  2. グループに分かれ議論。

おわりに

阿木さんから

  • メディアの取材は、大変むつかしく、また客観的事実となりにくい面がある。フリージャーナリストは現地にはいれないし、情報を得るのは大変困難な状況だ。
  • 「国境なき医師団」の事例(批判に応え、「総合的視点」をもつ立場に転じたところ、団員が殺害され、撤退した)を紹介。
  • 軍隊があると、戦争がおこる。チェチェン人側の武力解除も考えられる。(青山さんからコメント:実際にそのように考える人たちがでてきている)

青山さんから

  • 突破口は内部からはむつかしい。今年になってチェチェンに関する本(日本語)が5冊でたのは朗報。
  • JVCは海外協力から平和をつくることを目的とするように変化したが、一方、反戦・平和運動をする人々は、NGOにまかせている。これは考えなくてはいけない。

圧倒的武力(他民族・異宗教の軍隊の!)を前に、命を賭して武力で対抗する、もしく無力にも殺害される人々。この悲惨な状況にたいして、「外部から何かができるのだろうか」という大変な難題に、今回はむきあいました。地域が封鎖状態(チェチェン)ないし入国不可能状態(イラク)なので、「世界が見ている」というメッセージを発することで暴力の抑止をはかろうとする、非暴力平和隊の手段さえ通用しない状況です。それでも、暴力を抑止する「世界の世論」をつくる努力に、希望をつなぎたいと思います。

第5回は11月6日(土)は、「テロ・戦争と非暴力2――パレスチナを通して考える」です。

NPJ事務局(文責:佐藤)

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