非暴力平和隊・日本

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【非暴力平和隊や非暴力介入を取り上げている本】

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『非武装のPKO:NGO非暴力平和隊の理念と活動』

『非武装のPKO:NGO非暴力平和隊の理念と活動』
君島東彦/編、明石書店、2008

非暴力平和隊の活動や理念を紹介する本『非武装のPKO:NGO非暴力平和隊の理念と活動』(君島東彦編、1,890円)が、2008年5月に明石書店から出版されました。

【抜粋】(「あとがき」から)

 いま、国際平和協力一般法=自衛隊海外派遣一般法を制定しようとする動きが顕著である。これに反対する市民の声も大きい。日本の国際平和協力のあり方を問うとき、常に争点となるのが日本国憲法の平和主義、とりわけ9条との関係だ。日本国憲法前文を注意深く読むならば、「公正な世界秩序をつくるために主体的積極的に関与する」というわたしたち主権者の決意は読み違えようがない。日本の主権者が国際平和協力に主体的積極的に取り組まないという選択肢はありえない。問題なのは、国際平和協力がもっぱら自衛隊海外派遣の議論に傾斜してしまうことである。 「自衛隊を海外に派遣するな」という主張は──派遣が武力行使につながるおそれがあるときや国際公共性を欠くときにはとりわけ──よく理解できる。これは確かに日本国憲法の平和主義の重要な側面である。このような主張をわたしは「しない」平和主義と呼ぶ。しかし同時に、自衛隊を海外に派遣しないのであれば、国際平和協力として日本の主権者は何をするのか、それが問われる。日本の主権者による国際平和協力の実践、すなわち「する」平和主義が必要である。

 国際平和協力には、軍事介入ではない、紛争予防、紛争後平和構築、人権監視、選挙監視などさまざまなかたちがある。非軍事的な国際平和協力の領域はまだまだ拡大しうる。現在、数々のNGOがそれぞれの領域で活動中である。本書の執筆者がかかわる国際NGO「非暴力平和隊」(Nonviolent Peaceforce)は、紛争地の住民の生命を守ることを目的としている。武器を持たずに紛争地に行き、紛争当事者に「外部の目」「国際社会の目」を意識させることによって紛争の暴力化を防ぐ活動である。日本国憲法の平和主義からいって、わたしたち主権者はまず、この「非軍事的な国際平和協力の広大な沃野」について検討し、実行に移すことを考えたい。これが本書の目的である。

【目次】
序章 暴力の現在、非暴力の未来(君島東彦)

第1部 紛争地で武力によらずに命をまもる:スリランカ、フィリピンでの活動
 1 プロジェクト開始2年の模索(大島みどり)
 2 踏みとどまったスリランカ(リタ・ウェブ)
 3 1つの政府と2つの‘くに’(徳留由美)
 4 NPのプロジェクトの展開(大橋祐治)
第2部 非暴力のちから

 1 非暴力平和理念の淵源とその発展(大畑豊)
 2 世界の市民平和活動のなかでのNP(阿木幸男)
 3 大いなるお節介:非暴力介入(奥本京子)
 4 NPの挑戦と可能性(デイヴィッド・グラント)

第3部 人権、民主、平和の一体性:東アジアの経験
 1 韓国民主化運動:軍事政権の克服からグローバルな連帯へ(朴成龍)
 2 差別撤廃から国際平和貢献への道筋(小笠原正仁)

第4部 高野山シンポジウム:紛争地でNGOに何ができるか

 非暴力平和隊の全体組織
 あとがき(君島東彦)

 非暴力平和隊の賛同者・賛同団体
 年表 非暴力平和隊の歩み

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『平和・人権・NGO すべての人が安心して生きるために』

『平和・人権・NGO すべての人が安心して生きるために』
三好亜矢子・若井晋・孤崎知己・池住義憲/編、新評論、2004

この本は日本のNGO関係者20人による共著で、非暴力平和隊・日本の共同代表の君島東彦さんが第1章「平和をつくる主体としてのNGO」を書いており、もちろん非暴力平和隊(NP)についても本格的に書かれています。豊富な情報でとても示唆に富んでおり、幅広い視点を提供してくれます。

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『あなたの手で平和を! ―31のメッセージ』
フレドリック ヘッファメール/編、大庭里美・阿部純子/訳、日本評論社、2005

原題は「Peace is Possible」で、2000年に国際平和ビューロという国際平和団体から出版され、20カ国ほどで翻訳されています。

日本語版には「始めることが奇跡を起こす」という文章を高橋哲哉氏が寄せているが、小さな一歩を踏み出すことによって社会の改革が始まっていくこと、それは「奇跡」かもしれないが、そうしたまぎれもない事実が31人の「証言」によって綴られています。

この本には非暴力平和隊の「姉」であるピース・ブリゲイド・インタナショナル(PBI)も「武器を持たないボディーガード」の項に紹介されています。

コロンビアでの活動例を紹介し、人権支援家に護衛的同行をし、彼の家にいるときに暗殺者が来て、銃を突きつけたがPBIのボランティアの説得により退散した。一緒にいたのがPBIのボランティアでなく「コロンビア人だったら、男たちはためらうことなく銃弾をあびせたでしょう」と著者は言う。

PBIのねらいは「どんな冷酷な殺し屋でも、丸腰の外国人を殺すことには抵抗がある」ということ。「向こう見ずな理想主義のように思えるかもしれませんが、これは十分に研究された平和戦略なのです」。

コロンビアのクレドという人権擁護団体の会長も「この非武装のボディーガードが提供する聖域を絶対的に信頼」している。クレドのメンバーは1992年から93年までにメンバー6人が殺害されたが、PBIがサービスを提供するようになってからは暗殺されてない。

この本には非暴力平和隊も関係する人・ことが随所に出てくる。まず非暴力平和隊誕生のきっかけとなった「ハーグ平和アピール」。平和隊設立総会で記念講演をしてくれたバングラデシュ元首相のシェイク・ハシナが、25年続いたチッタゴンでの武力抗争を解決に導いた「困難だった平和への道」。同じく平和隊の賛同者でインドに亡命し、チベット人の権利のために非暴力闘争を続けるダライ・ラマの「人権と平和」。NP設立総会のときには亡命政府首相であるサムドン・リンポチェ尊師が「私たちは、非暴力の社会をどのようにしてつくりだすかを決心しなければならない」と語り、非暴力平和隊は、暴力の原因に注意を払い「その原因に取り組む」ことを強く訴えていました。

紛争転換のNGOトランセンドの理事ディートリッヒ・フィッシャーは「思想の力」の中でヨハン・ガルトゥングの研究がソビエトに与えた影響、ハイチが軍隊廃止した劇的な経過について書き、その最後に「私たちが夢を抱き、それに向かって一歩一歩屈することなく進んでいけば、最後には夢をつかむことができるのです」と結んでいる。

この他、ネルソン・マンデラが、南アフリカでの教訓をもとに、「テロリストとは交渉しない」という英国政府に対しアイルランド共和国軍IRAと(武力闘争放棄という)前提条件なしで話し合いの席に着くよう助言をし、ものすごい批判を浴びたが、現実はそのとおりに進んだという「対話が奇跡を生む」。イスラエルの核兵器開発を告発したモルデハイ・バヌヌの「私はみんなのスパイ」、日本政府の恥ずべき態度にも言及されている「核軍縮に向けてのロビー活動」、「人道的統治への道」「核実験場を閉鎖したカザフスタンの人びと」等々興味深い項目がならんで、これらの最後には「昨日の敵」というアジア版への文章で、対テロリスト訓練を受ける中で、米国こそがテロリストであることに気づいた元米空軍特殊工作員が書いている。

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『憲法九条の戦後史』
田中伸尚・岩波新書、2005

常に空洞化の危機にさらされている九条を盾に、あるいはその理念を実現すべく市民たちが行動してきたか、生きいきと描き、希望が湧いてくる本です。 「エピローグ 国際社会と九条―国家中心の安全保障観から市民中心の創る平和主義へ」(P. 233〜P. 244)並びにP. 158に非暴力平和隊、PBIについて紹介されています。 「エピローグ」に「世界の紛争地域に非武装の平和市民活動家が入り、非暴力で紛争介入し、平和を築くために環境づくりをする国際NGOの非暴力平和隊(NP)がインドで創設されたのは02年末である(中略)私は君島さんとの話を通じて、前文と九条の持つ豊饒さと広がりと奥行きの深さを再発見し、新たな可能性を見出した」とあります。

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『平和・人権・NGO すべての人が安心して生きるために』

『グローバル時代の平和学1
いま平和とは何か ―平和学の理論と実践』

藤原修・岡本三夫/編、法律文化社、2004

NPJ理事でもある岡本さんの第4章「平和学へのアプローチ」の中で非暴力平和隊について言及し、非暴力平和隊については「絶対平和主義の原理原則を継承するものであり、軍事主義に対する示唆に富んだオルタナティブを提供しているように思われる。特に、完全非武装の市民ボランティアが数百人規模で紛争地域へ介入することによる暴力の抑制という斬新な着想はこれまでになかったもの」(P. 118)と書かれています。

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『平和学のアジェンダ』
岡本三夫・横山正樹/編、法律文化社、2005

非暴力平和隊、PBIについて「第1章 新世紀の平和学のアジェンダ」(岡本、P. 10)、「第5章 NGOの平和学」(君島、P. 88)で紹介されています。
本書では「平和学のアプローチ」「地球村の平和学」「エンパワメントの平和学」と3部・11章にわたって実に多様な視点から平和への取り組み、平和への道筋が提示されています。

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『フロンティア法学』
上田純子・三枝有・長尾良子・中里見博、法律文化社、2003

第2章「非暴力平和主義でいこう・・・その先進性と可能性」の第2節「『しない』平和主義から『する』平和主義へ」で 非暴力平和隊が紹介されており、新聞のスクラップ記事も2つ掲載し、非暴力平和隊の意義について論じています。著者の1人の中里見さんは非暴力平和隊・日本の会員で、ニュースレター3号に「非暴力平和隊国際事務局訪問記」も書いています。

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『「平和構築」とは何か 紛争地再生のために』
山田満、平凡社新書、2003

著者は埼玉大学教授で、インターバンド副代表(当時、現代表)です。インターバンドは紛争後の平和再建に主に組むNPO法人で、選挙監視などの活動に取り組んでいます。この本の「平和構築活動」でPBIは紹介され(P. 153)、著者の活動の危険性に対する質問に対し「非暴力だからこそ国際世論を動員できる。また世界各地の多くの地域ボランティアから詳細な報告があり、安全度はかなり高い」とPBIは答えています。

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『市民的不服従』
寺島俊穂、風行社、2004

第1章 市民的不服従の論理
第2章 ソローとガンディー
第3章 M.L.キングと公民権運動
第4章 指紋押捺拒否の思想と運動
第5章 兵役拒否の思想
第6章 市民的防衛論の検討
第7章 非暴力防衛の思想
第8章 憲法第九条と戦争の廃絶

という内容で、ソロー、ガンディー、キング牧師の思想の核心に迫ろうと試み、ジーン・シャープやガルトゥングの考え方についても触れられており、憲法第九条の経緯と非暴力原理について書かれています。

「憲法の前文と第九条が要請していることは、 非暴力による紛争解決への道であり、その実績を積んで行くことが日本政府および日本国民の今後の課題となるであろう。 非暴力による紛争解決というのは、国際紛争に対しては、紛争解決のため、また紛争時の人命救助のため非武装、非暴力で貢献し、日常的には戦争や暴力紛争の予防のために尽力することである」 と書かれており、非暴力平和隊(NP)やGPPAC*の目指すものと同じ道であることを主張されておられます。

また、論議の的になっている自衛権についても、武力に頼ることなく、「非暴力的手段で積極的に闘い、自分たちの社会を守るという意味で『非暴力自衛権』という言い方のほうが憲法第九条に適合していると考えている」と書かれています。

*GPPAC
Global Partnership for the Prevention of Armed Conflict (武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ)の頭文字。
詳しくは、こちらをご覧ください。http://www.peaceboat.org/info/gppac/

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『非暴力 武器を持たない闘士たち』
マーク・カーランスキー著、ランダムハウス講談社、2007

イエス・キリスト、マハトマ・ガンディー、キング牧師―― 武器を手にした獰猛な権力に非暴力主義は勝つことができるのか?
武力を捨て、戦争を放棄する非暴力という思想は、 平和を讃えるだけの空虚な理想主義ではない。
それは既存の秩序を根底から揺るがす、危険で有効な戦略なのだ。
イエス・キリストに始まり、ガンディーやキング牧師に至るまで、権力と密接に結びついた暴力に対し、非武装・無抵抗で立ち向かった者たちの果敢な挑戦の歴史を振り返り、「戦争のない世界」を実現する可能性を探る

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『スリランカの内戦と人権』
IMADR-JCブックレット13、反差別国際運動アジア委員会・反差別国際運動日本委員会/編、解放出版社、2008

20数年にわたる民族紛争が、タミル系住民をはじめマイノリティの人権に重大な影響を及ぼしてきたスリランカ。その現実を知るとともに、屈指の援助国として巨額のODAを拠出してきた日本の政府と市民が果たすべき役割を考えるための書。
スリランカと日本それぞれの専門家が、紛争の歴史的背景と最新情勢、国際社会や日本に求められる役割について書き下ろした論考のほか、日本から紛争地に赴任したNGO職員の体験記、マイノリティの人びとや避難民の状況についての報告を収録。国連文書や現地NGOの報告書など、スリランカの人権状況についての最新の資料も掲載。導入部にスリランカの民族状況の概説と地図・年表を掲載したほか、写真も多数。

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