非暴力平和隊・日本

スリランカ通信(53)2005.05.24

スリランカ通信53号/一時帰国とマータラ事務所の運命!?

2005年5月24日
大島みどり

この通信は私の個人的な感想や考えを述べたものであり、Nonviolent Peaceforceあるいは非暴力平和隊・日本の公式見解を示すものではありません。転載・転用をご希望の際は、筆者あてご連絡ください。

みなさま、こんにちは。スリランカは昨日仏教の祝日ウェサック(お釈迦様の誕生日)を迎え、南部(のシンハラ人仏教徒社会)は町中が、紙で作られたランタン(提灯)で飾られています。雨季に入っているため、雨が降ったり止んだりしていますが、おとといの真夜中すぎ空港からコロンボの町に向かう道路沿いは、色とりどりのランタンで美しく輝いていました。

事後報告で大変申し訳ないのですが、実は5月8日から2週間ほど、私的な用事で日本に一時帰国をしていました。2週間ですべての用事を済ませなくてはいけないため、時間に余裕がなく、みなさまへのご連絡を控えさせていただきました。事情をご理解いただけますと幸いです。

季節的にもちょうどよい季節だろうと期待して帰ったのですが、前半1週間は、あまりの寒さに電気あんかを入れても寒くて寝つかれない夜が続きました。からだがスリランカの暑さに慣れてしまっていたのでしょう。

忙しいスケジュールだったため、あまりゆっくりすることはできませんでしたが、一日だけ新緑の山(「登り」はしませんでしたが)と小川のせせらぎの中で、静かで心やすらぐひとときを過ごすことができました。日帰り温泉で湯船に浸かる贅沢さを味わい、日本をふるさとに持つありがたさをしみじみ感じた一日でした。

今回の一時帰国ではまた、日本の「便利さ(と秩序)」に逆カルチャー・ショックを感じました。停電など在り得ない、電車は時間通りに来る、1分でも遅れるとお詫びのアナウンスが流れる、歩いて数分のところに24時間営業のコンビニがあって、調理などしなくても、いつでも手軽に食べ物が手に入る、銀行ほかどこでも順番待ちの札が用意されていて(あるいはたとえ札がないスーパーのレジでも)、あっという間に横から列に割り込んでくる人などいない、幹線道路でない道もきちんと舗装され、たとえ(ゴールデン・ウィーク明けの)オフ・シーズンにはあまり人が来ない観光地であっても、トイレ等の設備ははきちんとメンテナンスされている・・・。日本にいたらこんなことは当たり前で、逆にこれらが守られていないと大変なことになるわけですが、スリランカから来てみると、どうしてこんなにきちんとしているのかが不思議な気さえするのです。どうしてこんなに違うんだろう。何がどうしてこんな違いができるのだろう・・・。しばし考え込んでしまいましたが、これは簡単に答えの出る問題ではないのかもしれません。(もちろんそれに、道路がすべて舗装されているのがよいということでもありませんが。)

休暇と呼ぶにはちょっとハードなスケジュールでしたが、それでもこうした(ある程度のお金さえあれば手に入る)日本の「楽さ」を味わった後のスリランカ生活は、正直少しシンドイかもしれません。そしてそれをうすうす感じていたからこそ、もしかしたらわたしは日本への一時帰国を(必要に迫られない限り)控えていたのかもしれません。(1年以内にほぼ全NPメンバーが休暇で帰国をしていて、1年7ヶ月以上も粘った(?)わたしは例外のようです。)

さて、前回お話しましたように、今後わたしがどこを拠点に活動することになるかは、まだいまの段階では決まっていません。マータラ事務所のリースは5月末で切れますが、電話線を引くときにNPが仮払いした予約金(家賃2ヶ月分以上に相当)を返金してもらうまでは立ち退かないという話を、わたしの留守中にコロンボ事務所が大家さんにしていますが、それに対する返事はまだ来ていないようです。

一時帰国直前まで訪問していたマータラの津波被災の避難民キャンプが抱えている問題はいくつもありますが、それらに対応するキャパシティ(能力と限られた人数でできる仕事量)がNPにあるかどうか、ほかのフィールド(地域)からのスタッフ増員要請やその必要度、その他いろいろなことを考慮した上で、今後の展開が決定されなければなりません。先のことを見通すことのできない現状に、当惑と不満と疲れを感じつつも、なるようにしかならないというあきらめの気持ち半分、腹をくくる気持ち半分で、しばらくは過ごすほかないようです。

そしてそんな現実にみなさまもおつきあいいただければ、幸いです・・・。

それではみなさまどうぞお元気で。四季と温泉(には行けなくても湯船)のある日本で生活できる贅沢を、どうぞ十分味わってください。

大島みどり

△スリランカ通信(53)2005.05.24/TOPへもどる

前号を読む|次号を読む