非暴力平和隊・日本

スリランカ通信(61)2005.09.20

スリランカ通信61号/新しいメンバーに期待して

2005年9月20日
大島みどり

この通信は私の個人的な感想や考えを述べたものであり、Nonviolent Peaceforceあるいは非暴力平和隊・日本の公式見解を示すものではありません。転載・転用をご希望の際は、筆者あてご連絡ください。

忙しさと、メールへのアクセスが容易でない日々が続いたため、みなさまへのご報告が大変遅くなりました。秋が近づき、選挙も終わったこの頃、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

前回の便りで少しお話させていただきましたように、8月中旬から新しいメンバー(以下FTM)14人が4チームに分かれて、それぞれ4−5日ずつフィールドを訪問しています。現在最後の3人が、ムトゥール・トリンコマリー・タウンに来ています。この間また、トリンコマリー・タウンの新しいオフィス(以下トリンコ・オフィス)では契約が交わされ、内装・外装が整えられる(実は、予算不足で中途半端なままですが・・・)一方、ムトゥール・オフィスではパート・タイムの通訳の募集・選考があったり、と通常のフィールドでの活動に加えて、対応しなくてはならないことが多い日々が続きました。(続いています。)

わたしが、ヴァルチェナイから移動したFTMのひとりとともに、トリンコ・オフィスへ移ったことで、ムトゥールにはふたりが残りました。が、そのうちのひとりが9月上旬から休暇で帰国しているため、現在ムトゥール・オフィスとトリンコ・オフィスの双方を3人でカバーしていることになります。陸路で2時間半離れているオフィスを、数日ごとに行き来しながら、トリンコマリー・タウンとムトゥール以南の広範囲をカバーするのは、正直容易ではありません。もちろん、新しいFTMの訪問に対応して、彼らの宿泊先や、2台目の車とドライバーの手配、ふたつのチームに分かれて行動するための、パート・タイム通訳の試験的採用など、活動に伴うロジスティック(事務的な諸業務?)が大きな問題となるのですが、どうも多くのFTMはこうしたことが大変苦手で、几帳面な(?)わたしが、いくら先のことを見通してプランを立てようとしても、思うようにことは運びません。そこに、現地のパートナー団体(わたしたちがサポートしようとする人々)が加わればなおのこと、明日のことはおろか、きょうのことさえ、予定が立てられません。手配をしたら実行直前でくつがえされたこともあり、こうなると、もうあきらめるしかありません。たとえコロンボやNPの国際事務局からコストを切り詰めるように要請されても、そうしたことを念頭に予定をたて、行動するという考えが毛頭無いので、時間もお金も、あればあるだけ使い果たす、といったありさまです。こうなればわたしひとりがいくらあがこうと無駄ですし、余計に疲れるだけなので、成り行きに任せることに決めました。正直なところ、これはわたしが2年間で学んだことの重要なことです。でも、これはわたしが単に几帳面な堅苦しい人間なだけなのかもしれません。どちらにせよ、この話をすると、長くなりますので、また(?)の機会に回します。

荷物をトリンコ・オフィスに移動させたものの、荷解きをせずに、またひょっとすると一度も泊まらずに(ゲスト・ハウスに泊まって)、トリンコマリーを去ることになるかもしれません。9月末にNPSLチーム全員が集って2日間の合宿を行い、その後新しいFTMがフィールドにやってきます。わたしは彼らと10月第1週をともに過ごした後、NPを離れます。残すところ20日あまりです。が、あまりの忙しさに、NPを去ることについていろいろ考えたりする時間も余裕もありません。荷物をトリンコマリーからコロンボに引き上げてから、ドッと疲れが出るような気がします。あまりの平穏な日々に、どうしてよいかわからないかもしれません・・・。

NPSLはパイロット・プロジェクトの名にふさわしく(?)、当初から波乱万丈、内部・外部ともに問題の山積みで、2年間を過ごしてきたと言ってよいと思います。もちろんたくさんのすばらしい活動もしてきたわけですが、わたしはこの2年をひとつの区切りとして、新しいプロジェクト・ディレクター、チーム・マネジャー、プログラム・マネジャー、FTMが加わることで、NPSLが少しでも体勢を整え、さらなる飛躍に向かって、土台固めをしてくれることを祈っています。

2年前の9月27日の夜中にスリランカの空港に着いたときの写真(5人が香港から同じフライトでした)を見るたびに、この2年間いろいろあったけれど、あっという間だったなぁと思います。当初のFTM11人のうち、6人が2年間のうちに去りましたが、5人は残り、その後加わった4人と、これから参加する14人とともに、フィールドでの活動を支えます。新しいメンバーも、みなそれぞれに、知識や体験を重ねてきた人たちですから、さまざまな場面で衝突もあるかもしれません。それでも、その衝突をポジティブな方向と力に変えていければ、NPSLの活動はさらに広がり、また深まっていくことでしょう。新しいエネルギーに、大いに期待したいと思います。

それでは、少なくとももう一度みなさまへ、フィールドから最後のご報告をさせていただくつもりです。

どうぞお元気で。

大島みどり

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