非暴力平和隊・日本

非暴力平和隊実現可能性の研究【第2章 第2節(1)】

第2章 介入における戦略、戦術、および活動

クリスティーネ・シュバイツアー

2.2 平和チームと「市民平和活動」

2.2.1 はじめに

希望の灯は、連帯があるところにのみ灯せる。あなたを保護してくれる誰かがあなたと共にいるならば、どんな掛かりあいにも身を投ずることはいとも簡単だ… たとえどんなに高い所からであろうとも、誰かが下にいて、落ちても傷つかないようにしてくれることを知っていたならば。 あなたは、私たちが活動に身を投じることのできる力を与えてくれる。あなたは追い出された。 あなたはあなたが助けた人たちと同じ問題に苦しめられた…忘れてはならない! 彼らが抵抗運動を築き上げる中で彼らを支援することができた、ということが、まさに人々と共に苦しみを受けた理由なのだ、ということを。
――ルター派主教 メダルド・ゴメス(エルサルバドルでPBIによって同行保護を受けた)

平和チームと「市民平和活動」は両方とも、「同行とプレゼンス」によって、紛争を非暴力的に解決し、平和を構築し、社会を再建しようとする地元の活動家の活動範囲を広くすることを目的とし、紛争地域で民間人によって実行された広い範囲の活動について説明している「傘」となる用語である。その活動は、紛争地域で、平和活動家をトレーニングすること、非暴力的紛争解決の重要性に対する関心を高めること、平和チームを送り出すこと、および地元住民と共に活動することを含んでいる。私たちが、別々に二つのサブチャプターに分けてそれらを扱ったのは、概念的な違いで分けたというよりは、2人の研究者の間の仕事の分担のためである。

もし違いがあるとすれば、それは、平和維持活動(同行、プレゼンス、割り込み)に集中しているプロジェクトと、平和構築の方に集中しているグループの間の違いである。 しかし、平和維持の他の形式は実行されているけれども、同行だけに集中している「市民平和活動」が現在はない一方で、平和維持の課題よりは平和構築の方に、より集中して来たいくつかのグループは自分たちを平和チームと呼んでいる(BPT)。 それは、「市民平和活動」も平和チームも、一方でお互いを明快に二つに分け、他方で他のボランティア・サービスからも明快に分別する明快な概念ではないことを意味している。 もしそこに「ヨーロッパCPS」の特性があるならば、多分、「市民平和活動」という用語は、以下の要素あるいは目標によって一般的に特徴付けられる新しい政治運動を言い表している、と言っても差し支えない。

  • 平和活動/平和チームを制度化し、対応する法的な条項を定める、あるいは既存の法的条項の利用を図る。
  • 紛争転換と市民社会の構築のために草の根運動のための公的資金の導入を図る。
  • すべてでないが、ある場合には、平和活動を専門化するという目的を持ち、提携しながら準備的にトレーニングする必要性について強調する。

さらに明確な定義はないが、この研究の目的のために、「市民平和活動」のためのヨーロッパ・ネットワークのメンバーであるすべてのボランティア団体とトレーニング団体(すなわち、ドイツ、スイス、オランダ、オーストリア、フランス、イタリー、およびヨーロッパ議会)を「「市民平和活動」(CPS)」と呼び、他のすべて(すなわち「国際平和旅団(PBI)」、「クリスチャン・ピースメーカーズ・チーム」、「平和のための証人」、「SIPAZ」、「バルカン・ピース・チーム(BPT)」)は「平和チーム」と呼ぶものとする。

私たちの調査では、現地で活動中の団体の活動をすべてカバーすることを目的とはしなかった。 むしろ、私たちは、一握りの非政府団体を選び、いろいろな視点において非暴力平和隊のための先行例として調査した。

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