非暴力平和隊・日本

非暴力平和隊実現可能性の研究【第2章 第5節(6)】

第2章 介入における戦略、戦術、および活動

クリスティーネ・シュバイツアー

2.5 軍隊による介入

2.5.6 非暴力平和隊のための結論

  • 停戦および平和維持者のプレゼンスについての、紛争当事者による事前の合意の重要性は、大規模な非暴力的介入のために留意すべき教訓である。
  • 伝統的な平和維持において、暴力の行使に対して課せられた厳しい制約は、緩衝地帯と停戦を監視することが、武装していない民間人でもできることではないだろうか、という疑問を呼び起こす。この問題、ならびに一般的な軍隊の課題を(民間人に)置き換える問題については、2.6章でさらに深く考慮することにする。
  • 今までのところ、紛争当事者の物理的な分離が明確になっていない場合に、強力な武力行使に頼らない平和維持が活動できるかどうかは、未解決な問題であると考えなければならない。頑強な平和維持についての主張は、平和維持者が彼らの任務を実行することを中止することは認めてはならない、ということである。 異なった手段によって同じ機能に到達できるのかどうか、について議論する価値がある。
  • 何人かの平和活動家は、たとえば、国際警察をもっと頻繁に使用することにより、あるいは、国際介入を民間人化するために、国連とNGO の間の本当の協力を提唱することによって、もしくはその両方によって、国連の任務の民間人の要素を徐々に強化する戦略を提案している。問題は、複合的派遣団の中で仕事の活動区分が決められた時に、そのような戦略に成算があるかどうかである。その危険は、非暴力の民間人が軍隊の役割をゆっくりと引き継いでいく代わりに、軍隊のある種の役割、特に民間人に対する保護を提供することにおける軍隊の役割が強化され、確立されて行くであろうということである。
  • すべての関係者がそれを望んでいるか、容赦するか、のいずれかという問題とは無関係に、安全な環境を提供することに配慮している国際的な平和維持部隊が現地に存在するや否や、そこには仕事の活動区分ができる。それは実際の協力のそれほどの問題ではない: 協調の欠如についてのあらゆる苦情にもかかわらず、軍隊は通常協力には本当に関心を持っていない。しかし、非暴力の介入者は、軍隊が国際的な任務の総合的な戦略によって支配される道具立ての一部であるという事実を受入れ、軍隊とともにそれを取り扱うやり方を見つける必要がある。その組織の総合的なアプローチと目標によって、軍隊のプレゼンスを扱うのは、単に、国際的な派遣団から独立している、というシンボルを見つけることを意味するかもしれない(武装した護衛者は利用しないとか、種類の違う車を運転しない、というような)。組織としての目標が、軍事介入に代わる代替手段の例を提供することであるならば、事態はさらに複雑になり、唯一の解決策は、そのような状況からの撤退であるかもしれない。
  • 必要とされるべき機会: ブラミ・レポートは、民間人職員の人数の不足を非難している。問題は、国連が仕事や昇進のチャンスを提供することができないので、経験豊かな人々が1回ないし数回の配備の後で消え去ってしまうことにある、と彼らは見ている。したがって彼らは、必要があれば国連がすぐに職員を検索することができる民間人候補者のイントラネット/インターネットの登録簿の制度を提案している。
  • 平和執行活動は、しばしば片方の側に対して向けられる事実上のパルチザンの任務になってしまった。どちらかの側に立つということは、コソボで試みられた「政治的に立場をとらない」平和維持軍への転換にあたって深刻な問題を生み出した。これはまた、非暴力派遣団のために覚えておく教訓である。政治的な立場をとることと、とらないことは、簡単には混じりあわない(特に片方と連帯していると一旦見做された後で、「政治的に立場をとらない」という立場を取り戻そうとしても)。

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