非暴力平和隊・日本

Rumors of Peace 2001〜2004:第1号(2001年4月)

1.あいさつ

デイヴィッド・ハートソー&メル・ダンカン

国際非暴力平和隊ニューズレター "Rumors of Peace" 第1号をお届けします。国際非暴力平和隊の進行状況を皆さんにお伝えできることをたいへん光栄に思ってます。2年ほど前にハーグ平和アピールで会い、非暴力による平和構築の規模と範囲をいかに広げるか、ということを話し合って以来、実にさまざまなことが起きました。提案を形あるものにするために2,000人以上の方々とお会いし、たくさんの方々がわたしたちと同じ構想を持っていることを知りました。

この構想はまさに人から人へと受け継がれてきた構想です。この構想はまずガンディーから流れ出しましたが、そのガンディーはシャンティ・セーナ(平和軍=非暴力平和隊)を組織している最中に暗殺されました。しかし、そのアイディアは生き続け、1980年代にはピース・ブリゲイド・インタナショナル(PBI、国際平和旅団)、コーヒー/コットン・ブリゲイド、ウィットネス・フォー・ピース(平和の証人)、その他の団体が、非武装のボディガードを中央アメリカの草の根運動のリーダーたちに提供し、時には敵対するグループ間に彼ら自身の身を置いたこともあります。現在、2つのクリスチャン・ピースメーカー・チームがイスラエル・パレスチナ地域でこの構想を実践しており、最近ノーベル平和賞にノミネートされたPBIは、非暴力による護衛的同行を提供するために、コロンビアに35人のボランティアを派遣し、さらに世界の他の地域にも派遣しています。

わたしたちはこの成果・実績を基礎に国際非暴力平和隊を築き上げようとしているのです。平和隊を立ち上げるための調査・準備をリードしている精力的かつ多才なメンバーとして、ドイツのクリスティーン・シュヴァイツァー(バルカン・ピース・チームの元コーディネーター)、ティム・ウォリス(PBIの元国際局長)、フランシスコ修道会のシスター・パット・キーフェ、そしてカール・スティーレン(カナダ・フレンズ・サービス委員会の元コーディネーター)がいます。国際非暴力平和隊を準備する中で、わたしたちはこの構想を実現させる時が来た、という信念をさらに強くしました。わたしたちの活動を続け、構想を共有し実現させましょう。

この国際非暴力平和隊ニューズレターは年に8回発行され、そのうち6回は電子版、2回(4月と8月)はプリントされ発送されます。わたしたちの構想を実現する活動に積極的に参加していただくために、わたしたちの活動、主たるメンバーの活動、読み物についての最新情報を皆さんに提供していきたいと思っています。

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2.国際非暴力平和隊カレンダー

  • 3月11〜23日:国際友和会(FOR)、PBIと共にクリス・ムーア・バックマン(Chris Moore-Backman)はコロンビアに滞在し、国際非暴力平和隊が果たせる役割について調査した。
  • 「平和にチャンスを:紛争解決技術の入門トレーニング」
    • 時間:14:00〜18:00(土曜日・5回)
    • 場所:カナダ・オンタリオ州オタワ(連絡先:Canada@nonviolentpeaceforce.org
    • 期日・内容:
      • 2001年春
      • 3月17日「暴力から健全さへ」
      • 4月 7日「個人間の紛争解決」
      • 4月28日「PBIのトレーニング」
      • 5月12日「深刻な紛争の和解」
      • 6月 9日「ミシガン・ピース・チームのトレーニング」
  • 3月26日〜4月7日
    デイヴィッド・ハートソーとフィル・マクマナスはウルグアイで行われるSERPAJリーダーによる全ラテンアメリカ会議に参加し、平和隊提案書の検討を行う。引き続きエクアドルに行き、コロンビアにおける紛争状況に関し国際非暴力平和隊の活動の可能性について調査する。
  • 4月10日
    英国ピースワーカーズ理事会、ロンドン
    連絡先:Tim@peaceworkers.fsnet.co.uk
  • 4月16〜30日
    デイヴィッドは主要な指導者たちと協力関係を深めるためにインドとバングラディシュを訪問する。
  • 4月22日
    Vijay Mehta が英国ウェールズの国連協会の会議で国際非暴力平和隊と市民平和活動についてワークショップを開催する。
    連絡先:Tim@peaceworkers.fsnet.co.uk
  • 4月25〜27日
    米国ミネソタ州アッシジの丘Assisi Heightsで行われる地球教育連合Global Education Associatesの会議でシスター・パット・キーフェが国際非暴力平和隊を代表して参加。
    連絡先:Pat@nonviolentpeaceforce.org
  • 4月28日
    イギリスで行われるPBIのヨーロッパ会議でティム・ウォリスが国際非暴力平和隊についてのパネルディスカッションの議長をし、ワークショップをする。
  • 4月30日
    東京で日本サポートグループ主催の講演会「NGOによる予防外交─国際非暴力平和隊創設に向けて」が開かれる。
  • 5月
    デイヴィッドとダナ・ハワードがイースタン・メノナイト大学の夏期平和構築講座に参加し、40を超える世界各地の紛争地から参加してくる平和活動家に平和隊について話をする。
  • 5月4〜6日
    ティム・ウォリスがスイスで行われるヨーロッパ市民平和活動会議に参加する。
  • 6月1〜3日
    国際非暴力平和隊調査研究チームが米国ミネソタ州セント・ポールで会議をする。
  • 6月2日
    日本サポートグループの例会およびセミナー
    19:00から 文京区民センター会議室
  • 7月22〜23日
    国際非暴力平和隊調査研究チームが調査結果を検討委員会に報告する(セント・ポール)。
  • 7月27〜29日
    国際非暴力平和隊暫定国際運営委員会(セント・ポール)

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3.人物紹介:ティム・ウォリス(ヨーロッパ・コーディネーター)

ティム・ウォリスはギターケースを持ち歩いているが、その中には国際非暴力平和隊のヨーロッパ・コーディネーターとしてのたくさんの経験と責任感が詰め込まれている。PBI(国際平和旅団)の国際局長として、そしてその前にはPBIイギリス・コーディネーターとして活動してきた。1995年に戦争抵抗者インターナショナル、国際平和ビューロー、そして国際友和会を代表してチェチェンにおけるピースチーム活動の可能性について、広範囲にわたっての現地調査を行った。最近はティムは英国平和委員会の理事を務めていた。彼は目下国際非暴力平和隊の活動とイギリス市民平和活動の発展に力を注いでいる。

ヨーロッパ・コーディネーターとして、他のNGOや政府組織のみならず、さまざまなヨーロッパの市民による平和活動推進団体との関係構築も進めている。彼は組織発展に関する有能な戦略家でもある。ティムは1999年5月のハーグ平和アピールで生まれた平和隊の構想を発展させたグループの1人でもある。彼は一貫して非暴力的第三者介入の理論と実践の発展に力を注いできており、平和隊の提案にはすぐに関心を寄せた。

ティムは妻バーディ、十代の2人の娘エミリィとマヤとロンドンに住んでいる。有能なオーガナイザーであるだけでなく、創造的な作詞家でありギタリストでもある。彼の最新のCD"BOLD SONGS FOR PEACE" がある。(彼のところで入手可能:tim@peaceworkers.fsnet.co.uk

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4.書評(評者:パトリシア・キーフェ)

"Deliver Us From Evil: Peacekeepers, Warlords, and a World of Endless Conflict"

by William Shawcross(Simon and Schuster, New York, 2000)

過去10年の間にショークロスは国連事務総長ブトロス・ブトロス・ガリやコフィ・アナンと共に、そして外交官や平和活動家、人道救援専門家たちと多くの紛争地を訪ねた。彼がこの本で描き出しているものは決して美しいものではない。非暴力平和隊を主張する者にとって最も重要なものの1つは、軍事的か、人道的かそしてあるいは非暴力的であろうとなかろうと、介入の本質から来る害を示すショークロスの証言である。ショークロスは混迷を極めた過去の冷戦世界を丹念に描き出し、専制者や他のリーダーたちがどんなグループであろうと手玉に取るように自分たちの目的のために利用することにいかにたけているか、明らかにしている。

ショークロスは、国連がこうした構造を克服できずに、危機に直面したときに、解決に資するために必要な資金を集め、配分することができないままに、安全保障理事会は大袈裟な決議を受け入れなくてはならないことを説明している。結果として、危機に取り組むために必要な資金なしに事務総長が最終的な責任を負うことになる。さらに、技術的進歩が危機に関する情報をより多く、早く世界中に配信することを可能にしても、過去の同盟関係など人的要因が人命を救うための効果的行動を阻害している。

この本はたいへん冷静に書かれている。ショークロスは基本的には軍事的平和維持活動に焦点を当てており、非暴力的介入について特に書かれているわけではない。しかしながら、非暴力平和隊が活躍するであろう世界についてこの本から学ぶことは多い。

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5.アジア6ヶ国訪問記(デイヴィッド・ハートソー)

日本、フィリピン、インドネシア、タイ、カンボジア、そして韓国への訪問で考えたことなどを報告します。各国の平和運動家との出会いはとても感銘深いものでした。ほとんどの方は国際非暴力平和隊に対してたいへん好意的で、彼らの地域社会での紛争を平和的に解決するために平和隊を受入れ、多くの人が国際非暴力平和隊創設に協力的でした。

日本

多くのグループが暴力と戦争にあふれた世界に平和をもたらすために積極的に活動している。

  • 君島東彦を中心に平和隊日本サポートグループがつくられた。
  • 平和隊提案書を大畑豊が翻訳している。
  • 広島市と市長が平和隊を支援してくれないか、と考えており、最初の平和隊の国際設立会議を主催してくれる可能性をさぐっている。
  • 「第9条の会」は日本の再軍備化を防ぐ活動をしており、国際平和と安全保障をつくりだすもう一つの方法として平和隊を支援する活動に取り組んでいる。
  • 「ピースボート」は若いエネルギーに満ちており、国際非暴力平和隊に協力的である。
  • アメリカ・フレンド委員会は協力的だった。彼らによれば、日本の平和運動は第三者介入の価値を理解しうるし、また日本人は平和・反核運動を確立してきており、国際的視野を備えている。

フィリピン

フィリピンの多くのグループは国際非暴力平和隊に国際的な目・耳・そして良心としてフィリピンに存在してほしいと願っている。

  • Focus on Global Southの理事であり、市民行動党Citizens' Action Party党首のウォールデン・ベローは国際非暴力平和隊の賛同者および顧問になることに積極的である。
  • マニラ大司教のジェイム・シン枢機系卿は賛同者になる。
  • AKKAPKAというグループは1986年にマルコス大統領の非暴力的追放に先立ち非暴力トレーニングをし、それ以来、非暴力トレーニングを開催しているが、フィリピンで平和隊を組織することに意欲的で、非暴力トレーニングにすでに参加した人たちのネットワークを活用する。彼らはBase Christian Communitiesのメンバーでもある。
  • ACEID (Archdiocesan Center for Ecumenical and Inter-religious Dialogue of Mindanao、世界教会と諸宗教の対話のためのミンダナオ大司教管区センター)は国際非暴力平和隊の賛同者になるとともに、国際非暴力平和隊の活動に参加する。
  • 地方と都市貧困者の発展ための技術支援センター・ミンダナオ平和活動者ネットワークは、フィリピンでの支援ネットワークを構築し、国際非暴力平和隊を招聘し、共にミンダナオの平和を構築することを望んでいる。

インドネシア

ここでは関係づくりが非常に重要である。平和構築のための長期的関与の必要性がある。紛争地域の最前線にいるMCC(メノナイト中央委員会、AFSC(アメリカ・フレンド委員会), UNICEF, UNDP(国連開発計画), ICRC(国際赤十字), ワールド・ビジョンなどのグループとのネットワークをもつことが重要である。彼らは国際非暴力平和隊の存在が必要なときに知らせてくれるだろう。

  • ユニセフのインドネシア・ディレクターのロルフ・キャリアは賛同し、国際非暴力平和隊が「手遅れにならないうちに」インドネシアに来ることを強調していた。
  • 「安全保障と平和研究センター」は依頼者または協力者になる可能性がある。
  • 「青年エンパワーメント・センター」は協力者となった。
  • インドネシア厚生省のAnhari Achadi博士とHaffid Abbas博士の両大臣に会ったが、喜んで協力者となり、国際非暴力平和隊の賛同者になる。
  • ワヒド大統領の指導下、国際非暴力平和隊が貢献できる機会があるが、緊張が高まり、大きな暴動が起きるか、軍部がクーデターを起こしたならばその機会は失われるだろう。インドネシア政府の多くの人は国際非暴力平和隊のようなグループの存在が紛争の平和的解決を促進し、彼らの利益になることを知っている。

タイ

タイでは300から400のグループが非暴力闘争に参加している。

  • INEB (行動する仏教徒・国際ネットワーク) 創設者のスラック・シワラックは賛同する。
  • 著名な非暴力トレーナー、ウェイポーン・クワンケーオが賛同し、国際非暴力平和隊でともに活動したいとの要望
  • 「人権と発展のためのアジアフォーラム」は紛争の早期警戒の必要な地域で活動するピースメーキングの能力のある人を求めている。
  • 政治学教授で活動家のチャイワット・サッターアナンが賛同し、私たちと共に活動したいとのこと。国際非暴力平和隊にメディアと平和ジャーナリズム、そしてオルタナティブな外交についてトレーニングしたほうがいいとアドバイスされた。

カンボジア

国際非暴力平和隊は地元の平和活動家を支援するプレゼンスをできるかもしれない。

  • 「青年人材育成プログラム」に対し、国際非暴力平和隊は学生トレーナーを積極的非暴力に関してトレーニングする支援を提供できる。
  • 「平和のために暴力を追放する連合」に対し、国際非暴力平和隊は同行、監視、トレーニング、安全地帯の構築などで支援できる。
  • 「平和・生命・環境のためのシャンティ・セーナ」で1,000人の僧侶が平和と和解の活動を積極的に行っている。彼らは国際非暴力平和隊は互いに支え合えるシャンティ・セーナの世界規模のネットワークになれると述べた。
  • プノンペンの「ボランティア・コミュニティ」は国際非暴力平和隊に賛同。参加希望の英語を話せる僧侶がいる。
  • 紛争地に行き、平和的プレゼンスのできる仏教僧が50人から100人いる。
  • トレーニングと発展の組織であるThida Khus of Silakaが賛同し、非暴力と平和にあふれたカンボジアにするために平和隊と活動したいとの希望。

韓国

朝鮮半島統一プロセスの期間、兵士と戦車に取って代わって非武装地帯に沿って非武装の国際非暴力平和隊が果たせる役割があるのでは?

  • ソウル・フレンド派のJoon Parkは国際非暴力平和隊のアドバイザーになることを希望した。国際非暴力平和隊は和解プロセスの支援と戦争防止の援助に焦点をしぼるべきと彼は考えている。
  • 「良い法と政府のための市民連合」は国際非暴力平和隊に賛同。
  • 大韓民国国会議員のMyongsook HanとChang-Bok Leeが国際非暴力平和隊に賛同。Myongsookはノーベル平和賞受賞の金大中大統領に国際非暴力平和隊への賛同を求める。

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6.求人とボランティア募集

  • 国際非暴力平和隊の財政・資金調達担当者を若干名募集。能力と経験に応じて1人の正職員か2人のパートを募集。財団等への申請書作成やその関連する仕事の他に、大小のキャンペーンの計画・実施に責任を持つ。職場はセント・ポール通りの事務所。連絡先:Mel@nonviolentpeaceforce.org
  • トレーニング教材募集
    非暴力トレーニングカリキュラムとプログラムを送ってください。
    送付先:国際非暴力平和隊リサーチ・ディレクター
    Christine Schweitzer
    cheteligsweg 2, 22111 Hamburg, Germany
    XSchweitz@aol.com

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7.賛同者

下記のノーベル賞受賞者からの賛同の手紙を読みたい人はウェブ・サイトを見てください。
http://www.nonviolentpeaceforce.org/endorsers/endorsers.htm
オスカー・アリアス前コスタリカ大統領
ダライ・ラマ
リコベルタ・メンチュ

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8.設立趣旨

市民による常設の国際非暴力平和隊の創設を促進すること。平和隊は、紛争地域に派遣されて、殺戮と破壊を防止し人権を保護することによって、地元のグループが非暴力的に闘い、対話に入り、平和的解決を追求できる環境をつくることを目的とする。

「思いもかけないことが日々見かけられるように、不可能なことも可能になっていく。この頃は暴力の地平において驚くべき発見があり、驚愕の連続である。しかしそれ以上に、不可能に見える、思いもかけないことが非暴力の地平で起こるであろう。」

M・K・ガンディー

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