非暴力平和隊・日本

NPJ拡大運営委員会議事録

日時:7月31日(土)13:00-16:40
会場:立命館大学衣笠キャンパス恒心館(国際関係学部)3階737教室
出席:運営委員:小林善樹、鞍田東、大橋祐治、君島東彦、大畑豊(出席5人、委任状提出:12人、合計17名。運営委員総数18人。)
オブザーバー参加:田村あずみ(正会員)、井上茂樹(賛助会員)、加藤良太(非会員)、藤村陽子(非会員)、金恵玉(非会員)
配布資料等:拡大運営委員会資料(議事予定、NPJ活動記録)、NPJ2003年度決算報告書、国際理事会Agenda、NP2003年度会計報告、MOs(メンバー団体)リスト、A Note On Nonpartisanship(後の3点は希望者のみ)

  1. 議長と書記の選出
    議長として大畑豊委員、書記(記録係り)として大橋祐治を選出
  2. 議題
    1. 2003年度会計報告:(青木会計担当よりML上で報告済み)大畑共同代表
    2. ニューズレター3号の紹介:君島共同代表より紹介、隔月号で4号の編集は大畑共同代表
    3. 国際理事会報告:君島共同代表
      1. 7月2日朝より5日夕刻まで熱心な議論が行われた
      2. 出席者:国際理事11名(欠4名)、スタッフ11名、スリランカ・プロジェクトKnox代表他1名、現地(メキシコ)ホスト側スタッフ
      3. 会議の目標:
        1. 信頼関係構築
        2. 規約(bylaws)承認
        3. 予算ならびに資金計画承認
        4. 国際理事会作業部会、組織内コミュニケーション問題
        5. non-partisanship, internationalization, NP mandates等のコンセプトについてのすり合わせ
      4. 会議の内容ならびに成果:
        1. 規約の承認。(内容は、原案に、ほぼヨーロッパグループの提案を盛り込んだもの。日本からの意見も反映されている。別途、和訳をサイトに掲載予定)今後、106のMOs(メンバー団体)がこの規約を検討しMOに留まるか否かをそれぞれが決定することになる。
        2. 財務関係:収入の4割以上が個人の寄付であるが、ドイツ、英国政府からの資金援助も軌道に乗りつつある。しかし、いまだに月々やり繰りしている状況で、担当職員に対しても、毎月給与支払えない可能性や遅配の可能性を示唆している状況である。スリランカに対する第2次派遣も今後の資金の見通し次第である。資金援助について日本に対するクレームのようなものはなく、3月末にスリランカ事務所宛に送金した60万円に対しては大変評価されている。(NPの収支報告書に日本からの送金の記載がないが、できれば両建てでも『NPJ寄付、スリランカ・プロジェクト支出など』記載してもらうよう要請する)
        3. 国際事務局のベルギー法人登録(2003年5月の国際理事会で決議):ベルギーのブラッセルにNP本部を登録完了した。ヨーロッパ・コーデイネーターのRachel Julianが役員登録。セントポールにある現機能に当面実質的な変更はないが、今後ブラッセルの機能は拡充される見込み。体制としては「ベルギー・ブラッセルに本部を持ち、エクアドル、デリー、ワシントンD.C、セントポールに地域事務所を展開」となる。
          君島コメント:  NPはベルギー法のもとで、国際NGOとして法人化した。ベルギー法上のNGOとしては、主たるオフィスはブリュッセルとなり、ベルギー法上のNGOの役員は、国際理事会の執行委員会メンバー(ティム・ウォリス、クラディア・サマヨア、エリザベス・ロバーツ、ジョン・ステュアート、ラム・マニヴァナン)5人。レイチェル・ジュリアンはスタッフであり、役員ではない。しかし、これはベルギー法上の「作文」であり、NPの本部がブリュッセルになるわけではない。NPとしては、これまでどおり、国際事務局がセントポールにあり、ブリュッセル、デリー、エクアドルに地域オフィスがあるという体制。ほかにスタッフが、ワシントンとサンフランシスコにいる。NGOにおいては、NGOが主体性を持っていて、目的に応じて、各国で法人化する。各国での法人化、登録はあくまでもその国の法に適合するための「作文」であり、実態とは違う。設立総会以来、国際事務局を米国の外に置くという課題は一貫して意識されているが、財政等さまざまな理由からまだ実現していない。引き続き追求する。
        4. 資金調達の現体制:Mel Duncanが実質的に資金調達の中心。セントポールに3名の専任者(個人・大口担当、個人・小口担当、財団担当)。米国では資金調達(Fund Raising)が職業として定着。資金集めはNPのメッセージが相手に理解されれば80%成功、後は繰返しと十分なフォローアップ。
        5. スリランカ・プロジェクト(Knoxの説明):14-5名の派遣はスリランカの国際的NGOでは最大規模。4拠点のうち東部の2拠点は繁忙しているが、マータラではプレゼンスの効果が目に見えず、ジャフナへの言及はなかった。また、NPの本来の4つの使命が実施されているとはいえない。様々な問題での駆け込み寺的な業務が中心。プロジェクトの現在の課題は、活動の内容について何を何処までやるのかを明確にすること。現状は、フィールド・ワーカーの判断に委ねている面が大きい(大島さんの悩みでもある)。本来の4つの目的に絞るべきか(この分野でのみトレーニングを受けている)、プレゼンスを幅広く捉えて現地の要請にこたえるべきか(といっても様々な限界がある)結論を求められている。
          君島コメント:  スリランカでフィールドワーカーを派遣・展開した時点で、フィールドワーカーのmandate=任務が十分に明確でなかった、それを個々のフィールドワーカーの裁量、自発的対応に委ねたという面がある。それがたとえばマータラ・チームにおける悩みをもたらしている。マータラでのプレゼンスに効果があるかないかは判断しかねる。ノックスは、プレゼンスには様々な活動が含まれる、そういう意味では、駆け込み寺的業務もプレゼンスの一環である、と考えている。この点については、国際理事会の中でも見解が分かれる。
        6. スリランカ・プロジェクトの評価と新たな展開:スリランカ・プロジェクトはNPの最終目標である2000名のフィールド・ワーカーの保持に向けてのPilot Projectであるので、この評価は重要であると同時に、評価を最終目標にどう結び付けていくかが課題である。評価はノルウエーのトロムソ大学ヨハンセン教授に依頼済み。また資金の見通しにもよるが、第2次派遣をどうするか、現在の拠点の拡充とするのか、拠点の拡大にするのか、上記?の課題とも合わせて今後の検討課題。
        7. グローバルなトレーナーの養成:NPの最終目標に対する施策と共にメンバー団体との関係構築の手段として各地域でトレーニングをするためのトレーナーの養成・保持が提案された。
        8. non-partisanshipについて:討議する時間がなかったが、インドのRajiv Voraよりペーパーが提出された。(後日翻訳配布予定)
          *国際理事会の詳細については別途、君島共同代表よりの報告、さらには正式な議事録を予定している。
    4. 2004年度前半の活動報告:大畑共同代表
      • 実施事項:
        • (NPJのプロジェクトではないが)選挙監視に小林善樹参加---3月29日〜4月 3日
        • 機関紙・会報の定期発行---3月29日、5月21日、7月25日
        • 有給スタッフの雇用
          常勤事務スタッフとして松代尚子さんを、非常勤スタッフとして佐藤妙子さんを採用した。
        • チラシ作成---振込用紙も印刷されたもの望まれているが、暫定的な改訂版を作った。
        • ウェブサイト充実---かなり充実した。いくつかの意見が寄せられているので、さらに充実させていきたい。
        • 非暴力連続講座-------6月12日、7月3日
        • スリランカセミナー---6月26日
        • 福島学習会-----------7月17日;鞍田委員より今後の集会予定の説明あり
      • 懸案事項:
        • 著名賛同人の依頼【担当者・結果】
           信楽峻麿(元竜谷大学学長)【鞍田・2004.2.21承諾】
           神田香織(講談師)【鞍田・2004.4.9 承諾】
           広河隆一【本田・2004.4.30承諾】
           落合恵子(作家)【本田・2004.5.1承諾】
           大石芳野(写真家)【本田・2004.7.30承諾】

           浅井基文(元外交官、明治学院大教授)【岡本・不明】
           姜 尚中(政治学者、東大教授)【岡本・不明】
           鶴見和子(上智大学名誉教授)【岡本・不明】
           西川潤(早稲田大学教授)【岡本・不明】
           早坂 暁(シナリオ作家)【岡本・不明】
           石田雄【阿木・不明】
           ノーマ・フィールド(シカゴ大教授)【本田・不明】
           大江健三郎(作家)【 ・不明】
           佐高 信(評論家)【 ・不明】

          結論:ある程度まとまった段階で賛同人の名前をパンフレット等に掲載する。大畑共同代表より各担当に督促する。
        • 早期NPO法人化をめざす:常勤事務スタッフの採用後開始。基本的には届出制であり、不認可の可能性は少ないはずだが、東京都は最近書類不備等を理由に却下する例が出ている。全国的にも活動しているので内閣府提出も検討すべき。アーユスなど登録済みのNGOからノウハウを得る。
        • amazon.co.jpのアフィリエイトになる:継続
        • 宣伝用に使うパンフの作成---専門的な人に依頼する:継続
        • パンフをスリランカレストラン等において新規会員・カンパ獲得を行なう:継続
        • 非暴力的手法に対しての体系専門書、ブックレット作成:
        •  清末さんがNPJ運営委員の肩書で「ピースネットニュース」に「世界の非暴力運動ニュース」連載中で、これの活用も検討
        • ピースボートとの協力:継続
        • 他団体・声明等への賛同の件:(別途)
      • 2004年度後半に向けての活動・運営について
        • 上記懸案事項の検討
        • スリランカツアーは参加希望者少なく中止・延期;大畑共同代表が個人的にスリランカを8月に訪問。会員の一人もほぼ同時期にスリランカを個人的に訪問、NPにも出向く予定。なお、Knoxは、2-3名の少人数での訪問の方が対応し易いと言っている。
        • 非暴力連続講座---9月4日(土・午後)、10月2日(土)、11月6日(土)、12月4日(土)
        • 他団体・声明等への賛同の件(別途)
        • スリランカ通信の件:26,27号に関しては、内容について事実確認が必要で若干の時間を要した。NPJへの正式レポートではなく、従来どおり個人のレポートの位置づけとして了承。正式なものとしてはKnoxが配信しているスリランカ事務所からの報告を利用する。
        • 第2次スリランカ・キャンペーンの企画:審議未了
        • スリランカプロジェクト資金対策について(鞍田提案):審議未了
        • 年収の1%を目処に「フィールドワーカーサポート募金」の提案(小林・鞍田提案):審議未了
        • 事務局体制:(常勤スタッフの件--松代さんは9月までの予定。)同じ条件で候補者を選定する。基本的に関係者からの紹介等で選定、適当な人がいなければ公募にする。
    5. 会員状況(6月末現在)
        正会員   49
        賛助会員  63
        賛助団体  5
        インターン 2
        ----------------
        合計   123
      〈賛助団体名〉
      • アーユス仏教国際協力ネットワーク
      • 熊本YWCA
      • 真宗大谷派 光円寺
      • 日本キリスト教婦人矯風会平和部
      • 日本友和会
      • (・ピースネット---申し出があったが、まだ入金されていない)
    6. 他団体・声明等への賛同の件:
      結論として一律に「賛同しない」という運営委員会の以前の決定を次のように変更する、と合意を得た。
      1. NPJ(運営委員)への個別要請(NPJを名指しして賛同依頼してきたとき)に対しては無条件で、運営員会で検討する。依頼を受けた運営委員の意見があれば(依頼団体の説明、依頼に対する賛否の意見)、提案時に付する。
      2. NPJへの個別要請でないものに対しては慎重に対応する。すなわち一般に流布している賛同依頼に対し、運営委員や会員が、NPJも賛同すべしと提案するときには、必ず賛同を支持する意見、依頼団体の説明を付して運営委員会に提案する。
      3. 運営委員による十分な議論を尽くす。
      4. 上記の議論を踏まえ、或いは、その他の事情を勘案し、しかるべき時期に、両共同代表は意見を集約し、運営委員に結論を提示する。原則として、この結論を尊重しNPJの決定とする。
      5. 共同代表ならびに運営委員はML上の意見交換には制約があることを認識し、問題の性格等を考慮し、以上の結論に至った。

        背景説明:今回のWPNの声明への賛同に関するNPJのML上の議論は、2003年6月の運営委員会での結論に至った背景、理由についての関係者の認識の不一致、今回のWPNのデモで逮捕者を出した原因に対する事実認識の相違などにより相互にかみ合った議論の展開にはならなかった。また先の国際理事会の主要議題にもある通り、NPとしても使命の明確化、non-partisanship等についての理解のすり合わせが必要な段階にある。これらを踏まえ、当面の対応として上記の結論が妥当であるとの判断に達した。

        君島コメント: nonpartisanshipについて。  この言葉をわたしは「政治的に立場をとらないこと」と訳している。これは、紛争状況において対立する当事者のいずれの立場にも組みしない、take sideしない、ということを意味する。たとえば、スリランカにおいて、タミル人の権利、自治、将来の方向性などについて、NPは意見を表明しないということを意味する。それはスリランカの人々が決める問題である。しかし同時に、NPは、人権侵害や暴力に対しては、いずれの当事者のものであれ、抗議し、批判することを自制しない。これがNPのnonpartisanshipの原則の基本である。これはまず第一に紛争地におけるNPの活動原則であり、紛争地の人々の自己決定を最大限尊重することから派生してくる原則である。NPJが日本国内でどのような態度をとるかは、NPのnonpartisanshipの原則を意識・尊重しつつも、独自の判断がありうると思う。今回の運営委員会の結論はまずは妥当なものであると思う。Nonpartisanshipに関するラジブ・ヴォラ(アジア地域コーディネーター)のペーパーが提出されている。この翻訳を翻訳チームにお願いしている。このペーパーは非常に興味深いので、翻訳ができたら読んでいただきたいと思う。
    7. その他:NPJの運営のための資金の確保について検討の時間がなかったが、いずれにしてもNPJの活動資金の不足は運営委員が支援しなければならない。この点について各委員の理解と協力を要請して本会を終了した。
      −−以上−−

      備考: 拡大運営委員会で使用した資料は、事務局にあります。必要とされる方は受け取り方法を事務局(npj@peace.biglobe.ne.jp)までご連絡ください。

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