非暴力平和隊・日本

藤村陽子インドネシアレポート:No.9

No.9 2006年1月22日

PBI 藤村陽子

お正月に行ったアチェの小さな島、サバン島で

お正月に行ったアチェの小さな島、サバン島で

皆様、ご無沙汰しております。レポートの方が長い間書けずに申し訳ありませんでした。御存じの方もいらっしゃると思いますが11月はじめに、デング熱にかかってしまいました。症状のほうが比較的重かったので、メダンというバンダアチェに一番近い大きな町へ行き、病院に1週間ほど入院していました。その後、熱は下がったのですが体調がまだ悪かったので、その足でジャカルタまで行き、そこのPBIオフィスで約1ヶ月間静養していました。体調が回復した後、ジャカルタで1週間ほど仕事をし、ようやくアチェに帰ることができました。

2ヶ月ぶりにアチェに帰ってきて思ったことは、高価なレストランの数がかなり増えたことです。ピザ、トルコ料理、中華など、外国人を目当てにしたものがたくさんでき、料金も私からすれば目の飛び出るほどの価格です。アチェは今、インドネシアで一番インフレーションの高い地域だと、インドネシアの新聞に出ていましたが、こういったレストランも影響しているのだと思います。

こういった中で、失業中のアチェ人、未だに仕事の見つからない元GAMメンバーはたくさんいます。最近ではゆすりや盗みなどの犯罪件数が増えてきたと、いくつかの地元NGOが言っていました。

政府は未だに元GAM戦闘員や紛争被害者に賠償金を支払っていませんし、MoUの中でもこのことについては書かれていません。GAMのトップメンバーなどは政府機関などで職を得ているケースがありますが上記のGAMメンバーや夫を殺された未亡人や両親を殺された子供たちに目を向けなければ、真の平和は構築できないと思います。

さてPBIですが、私たちは今月半ばに中アチェ県へアセスメントに出かけました。そこで、地元のNGOが私たちを必要としているかどうかを調べにいったのですが、どうやら今すぐには必要ではないのではないかという結論に達しました。地元のNGOが他の県のものに比べてあまり活発ではないこともあって、PBIが同県内に滞在して活動するという可能性は低いと考えたのです。しかし、同県が平和かというと一概にはそうは言えません。同県では武装市民軍の存在が平和プロセスを脅かすのではないかという声もありますし、彼らも紛争被害者なので何らかのサポートが与えられなければ何が起こるかわかりません。ただ残念ながら同県ではPBIに今できることはないようです。

また、PBIは今月平和教育部門のメンバーのトレーニングを行いました。特にアチェでは、平和教育の部門での活動を広げていく予定ですので、新しいメンバーももうすぐ加わると思います。しかし、現在PBIの中で人材不足の問題があり、アチェチームから何人かをパプアまたはジャカルタに送らなくてはいけないようになりました。これは私たちにとってとても悲しいことです。アチェでの護衛的動向の依頼が減少したことや、PBIクライアントが私たちのサービスをあまり必要としなくなったことも背景にありますが、今まで私たち全員がひとつになって数々の難関を越えてきたり、活動をしてきたことを思うと心が痛くなります。私は残りの2ヶ月間、引き続きアチェでの活動を依頼されました。2月には平和ディスカッションを催したり、トレーニングを企画しなくてはいけないので、アチェを去っていくメンバーの分も全力でがんばりたいと思います。

平和ディスカッションですが、これは以前にもPBIが地元NGOに平和に関するトピックを議論する場を与えて彼ら自身がディスカッションをリードし、私たちが教えるのではなく地元のNGOの間で何かを生み出せればという考えを基に行ってきたイベントです。今回は私がその責任者となり、指揮を取っています。今回のトピックは'アチェの平和プロセスにおけるイスラム教の役割'です。PBIはnon-partisan ship(特定の主義に偏らない主義)にのっとっていますが、イスラム教はアチェの中で重要な役割を果たすのではないかという考えの下に決めました。2月はじめに催されるディスカッションなので、少し急がなくてはいけませんががんばります。

私が病気のときはどうもご心配をおかけしました。皆様も寒い中、お体を壊さないようにお気をつけてご活躍ください。アチェはもう乾季に入ったようで、毎日暑い日が続いています。

藤村 陽子

△藤村陽子インドネシアレポート:No.9/TOPへもどる

前号を読む|次号を読む