NPNPの活動

非暴力平和隊実現可能性の研究【第3章 第2節(2)】

第3章 現地諸関係の最善の実践例

ドナ・ハワード、コーリー・レヴィン

3.2 平和隊

3.2.2 地域のグループとの関係

PBI創設者の一人ジョージ・ウィルビーは、外国人は紛争地域にある人々に自分達が何が出来るかを知ることは出来ないと警告している。仲介が行われるならば、その地域のグループと長期的な関係が築かれていなければならない。

このような関係を築くことをしばしばパートナーシップと呼んでいるが、この言葉の定義は平和部隊諸団体によってまちまちである。それは、合意された目標と戦術を含んだ地域のグループとの正式な協定を持つこともしばしばである。私はこの章では「第3者の団体はエネルギーと専門分野での奉仕の面で貢献し、一方、地域の団体は紛争に対する洞察力、他のグループや指導者達との接点、そして人材の投入等の面で貢献するような提携関係にある」ことを示すものとしてこの言葉を使うことにする。

Lisa Schirchは次のような設問でこのような関係を構築することを勧めている:

Schirchは地域の人達が従う指導者(首長、長老或いは宗教的な指導者等の伝統に根ざした指導者達も含む)への権限強化を提言しており、政府、中間的介在者(宗教指導者、民族指導者、階層指導者、NGO)、草の根層(地元のNGO、地域デべロッパー、婦人連合、地域宗教指導者、健康指導者、市やビジネス指導者、難民キャンプ)等様々なレベルでの関係を構築するなど現地への多様なアプローチを提言している。

地域のグループとパートナーシップを作ることは、中立性に関連してくる。地域のグループにボランティアを派遣することはあなた達は彼らのために働いているのだから中立性を要求することは誤解を招きかねない。“正式な”パートナーシップが結ばれ、一方ではプロジェクトがまだ独立性を維持することを求められている時にはこの関係は更に複雑になる。或る団体はどちらかに組したと間違われるのを避ける為、地域のパートナー(少なくとも唯一つの地域パートナー)を持たないことにしている。(ヘルツェゴビナのPax Christiの例)

地域のパートナーを持つ場合、4つのモデルがある。

  1. 国際的ボランテイアが地域グループに派遣され、そのグループのために働く。事例:オーストリア・ピース・サービスの殆どのプロジェクト、Pax Christi(ボランティア1名をコロンビアの教会団体へ)。BPT-フランスも Kosovola で同じようなことを計画。
  2. 正式な地域パートナーを持つが、ボランテイアは自分達の(“その他に”)プロジェクトを持っていく。これは次の2通りの方法で行われる。
    (1)正式な招聘で派遣されるが、独立した仕事を行う。(BPT、PBIの例)
    (2)派遣された後でパートナーと一緒にプロジェクトを計画する。(ドイツのCPS、特にGerman development servicesに典型的な例)
  3. 一つのパートナーではなくネットワークで結ばれたグループとの成熟した関係を持つ。事例:HerzegovinaのPax Christi。その理由:パートナーが一つであること(CPS計画の下で政府の資金を得る為の法律上の要件)は、その民族グループと同一視され、仲介の仕事には障害となる。従って、CPは自分の登録された事務所を正式な’パートナー’とし様々なグループと仕事をする。
  4. その地域並びに第3者のグループを含む団体と相互扶助的なネットワークを形成する。

ウィットネス・フォー・ピースは上記の3番目の関係、即ち地域のグループのネットワークとの関係を持って実践している。彼等は関係する国々の地域のグループとの緊密な連携で働いて来ており介入の目標は地域の宗教団体や政府関係者とのコンタクトに基づき設定される。Ed Griffin-Nolanのよれば、彼等の成功の一つの要因は地域の人達と行政関係者とのパートナー的関係を発展させることに重点を置いたことにある。これらは教育や宗教に関する諸団体、中米の地域、地方のタスクフォースや、中米の宗教問題タスクフォースを含んでいる。

バルカン・ピース・チームは様々な地域のグループと共に平和の構築の携わってきた。地域のグループによって評価された一つのサービスは彼らがお互いに接触を保つよう支援したことであった。BPTは、大使館や資金提供者から、彼等が一緒に仕事をしているグループについて質問を受けることに問題があると考えた。そこで“どのグループも推奨しないことと正直で中立的な答えをするとの内々の方針を決めた”。

Sandra van den Bosse は BPTに対する地域の評価はまちまちであると報告している:
“我々は、何時も全てから評価されるわけではない。”

BPTの仕事の非常に前向きな評価はその地域のアルバニアやセルビア人活動家からのものである。「人権と自由擁護評議会」のリーダーであるYmer Jakaは次のように述べている:
“もし和解が成立するのであればBPTチームの仕事は継続され強化されなければならない。”

ヘブロンのCPTは、イスラエル当局によるパレスチナ人住居の打ち壊しの問題に関して「家屋破壊に反対するイスラエル委員会」と「パレスチナの土地擁護委員会」と緊密な連携をとり仕事をしている。CPTは又、Gush Shalomや「人権を求めるラビ」のようなイスラエルの平和グループと連携して非暴力活動を行っている。パレステイナ人と固い絆で結ばれて生活する一方でイスラエル人グループと連携を取っていることがCPTの中立性をいささか擁護している。CPTは正式なパートナーシップは持っていないが非暴力による正義の追求の願望を同じくする地域のグループとは一緒に活動している。

地域のグループはCPTチームを尊敬しており、彼らの存在が活動を継続する励みとなっていると報告している。チアパスではあまりにも多くのNGOが活動している為地域のグループと親密な良い関係を作ることはより困難であった。“今は尊敬を受けている”とClaire Evansは言う。“もっとも、あるグループは我々のことを変わっていると思っているが;即ち、我々の公な非暴力活動はあまりにも怖いと。”

PBIは、彼等が同行するグループ、例えば、帰還避難民、人権グループ、労働運動などとユニークなパートナー関係を持っている。彼等はグアテマラにおける最初の年から田舎の農民、秘密のコンタクト先や政府、軍関係者を訪問し自分達を紹介し、情勢を感じ取ることに時間を使い現地との多層な接点を作ることを実践してきた。彼等は、何にも増して、地域のグループから切り口を見つけるものと決めている。

SIPAZは、国際的連携であり、ラテンアメリカの諸団体を有し評議会にはメキシコの女性が名を連ね、チアパスにはチームリーダーは地域の人間である。これは介入以外の事柄で役立っている。Poen理事によるとSIPAZは大概、地域の諸団体から“慎重である”と見做されている。この慎重さ故に彼等はあまり恐れを持つことなく関係を築いていくことが出来るので、当初の段階では適切であると彼等は考えているとPoenは信じている。SIPAZチームは、あらゆるレベル、範疇の団体と提携関係を築こうと努力している。

チアパスのミシガン・ピース・チームはDelores Hildalgo住民の招待によるものだが、彼等は国際派遣員を要望しているが彼等ががいるかいないかが武将集団に分からないよう絶対に表に出ないことを求めている。“我々が派遣されたどのコミュニテイもそのコミュニテイが招待したものである。それが基本である。”武装蜂起に対する対抗的処置がとられている状況下では、招待すること自体がその地域に対するリスクとなる。難しいのは、彼等があなた方に何をするよう望んでいるのか、あなた方が何のために来たのかが何時も明確であるとは限らないことである。

“招待されたということは、あなた方がそこにいるべきでないという意見からあなた方を守るものではない。”

地域グループとの関係について十分に明確であることは全ての介入チームが当面する挑戦である。チームは誤解や誤った期待を避ける為に彼等の使命や目的を以下に明確に説明するかを学ばなければならない。全てのチームが地域の人々は彼等がお金や物資を持ってきてくれるだろうとか、彼らのために(翻訳作業や車での運搬などで)働いてくれるだろうとか、彼等は宣教師かさもなければアメリカのスパイだ、と思っていることに気づいた経験を持っている。

地域の団体と緊密に仕事をすることが全てのチームにとって重要である。彼等はDave BekkeringがBPTに関して行った評価ベースに異論なく同意する、“Otvorene Ociの将来は、地域のNGOが彼等のサポートを必要とする期間で決まる”介入は相互関係の中でこそ最善の決定がなされる。これは第3者の“部外者”の強みであると同時に限界でもある。一例として、Delores Hidalgo地域の決定が挙げられるが、MPTのボランテイアは村から村への移動の際隠密な行動が要求された。もし、平和チームの経験が、存在と同行の戦術は目に見えることによって効果的であるとするならば、この知恵が地域パートナーの要請よりも優先するのではないだろうか?パートナーは同意するだろうか?チームには分からない地域の情勢の事柄の判断についてはパートナーの方が正しいのではないか?CPT理事Stoltzfusはリスくについて次の線引きをしている。“我々は第3者として、決定の最終責任は自分達にあることを認識して、色々なアドバイスを取捨選択して我々が容許しうるリスクの程度についての決定をすることが出来るし、そうすべきである。”

目次 訳語・略語一欄 はじめに 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章