NPNPの活動

フィリピン・プロジェクト

地元市民団体の招きにより、非暴力平和隊は2007年5月からフィリピン、ミンダナオ地区で活動しています。国際市民平和維持活動家6人が、マギンダナオ州(ダト・ピィアン、ミドサヤフ、シャリフ・アグアック)、スールー州(ジョロ、およびその周辺地域)に派遣されています。ミンダナオ州コタバト市にあるフィールド・オフィスが全体の統括もしています。

また2007年9月のナイロビ総会でプロジェクトの拡大が承認され、必要な資金の調達状況に応じ、3-4年の間でスタッフを5名から29名に増やすことも決定されました。

非暴力平和隊はマニラにあるセキュリティー・アンド・エクスチェンジ・コミッションを通じて、フィリピンで正式に登録されています

ミンダナオでのチームの活動

現地に派遣されているチームメンバー(国際市民平和維持活動家チーム、以後ICP)の活動目的・内容は以下の通りです。

  1. スールー島、バシラン、サルタン・クダラートで、より大きなスケールでの非暴力的な介入を可能にするシナリオとしてはどんなものが考えられるか、必要なものは何か、について現地パートナー団体と共に探ること
  2. 特定の場所に拠点をおいて、各コミュニティーと一緒に暴力の予防に取りくむ。状況が悪化しそうな時に非暴力的な介入ができるよう、住民たちの訓練を通してサポートする。また、要請があれば、復興・開発のニーズのために、他の地元団体/国際団体と、住民たちとの関係作りを支援する。
  3. 護衛的同行などによりパートナー団体やその協働団体の活動を支援する。
  4. 正式な和平合意締結に向けて、紛争の主要当事者との関係を進展させる。

具体的には、以下のことが含まれます。

  1. 不安定な地域にICPを派遣し、国際社会の良心の「目」がそこにあるという状況を提供するため、地元の市民社会のパートナーと継続的な関係を保つ
  2. 非暴力的な解決に取り組み、個人、団体、コミュニティーなど、その活動ゆえに脅迫にあっているような人たちに護衛的同行を提供する。
  3. 暴力的事態を引き起こす可能性をもっている紛争の解決に取り組んでいる現地の平和活動家たちに対して、中立的なスペースや支援を提供する。
  4. 非暴力的な手法について、和平交渉に関わっている平和活動家や政府機関と情報をシェアし、一緒に学んだり訓練したりする。
  5. 国際人道法や国際人権法に違反する行為がないか監視し、必要な場合にはそれらの被害者の了承を得て、適切な国内・国際機関に報告する。
  6. ICPは地元の平和ボランティアや停戦監視員などと共に、武力行使を禁止した非武装地帯やピースゾーン作っていく。
  7. 紛争にかかわる武装グループと、現場では公平でオープンな連絡を保つ。プロジェクトのエリア内では、宗教指導者、若者や女性のグループ、教員組合など影響力のある団体や個人すべてと関係を保つ。
  8. 「平和」と「保護」が重要なものとして認識されていくように、戦闘地域内の孤立したコミュニティーの支援、開発のため、地元・国際団体との関係作りをする。
  9. 暴力的な事態を積極的に防いでいくため、また各グループが建設的な関わりをもっていけるようにするために、危機に対して早めに警告し対応するシステムづくりを促進する。

バンサモロに関わる包括的な合意への調印に関する、NPフィリピンの声明

2014年3月27日

フィリピンにおいて、ミンダナオの40年に渡る紛争が新しい時代を迎えました。フィリピンでは、フィリピン政府とモロイスラム解放戦線(MILF)の間で、ある転機を迎えています。それは持続可能な平和へと、国が向かっているという事です。

本日2014年3月27日に「バンサモロ地域に関わる包括的な和平合意」が、フィリピン政府とMILFの間にて正式に調印されました。この合意への最終調印までの道のりは、2012年10月に始まり、17か月の後に行われました。また、それは17年にも及ぶ和平プロセスの最高潮でもありました。この画期的な出来事は、バンサモロ地域の新自治区としての基礎を強固なものとし、地域におけるより大きな行政的な自治権をもたらします。またそれは、モロの人々の活力ある歴史、伝統や文化を維持することができるのです。さらに、この壮大な業績は、ミンダナオを苦しめていた数十年に渡る紛争を終焉させるのです。MILFの和平団の代表のMohager Iqbal氏はNPのプログラム・ディレクターのAtif Hameedへ、「合意の最終調印は、本当の平和への大きな希望です。生涯通しての集大成的な達成であり、この歴史的成功において、NPは大きな役割を担っています。」と伝えました。

この和平プロセスは、苦難に満ちていました。3つの大きな戦いと、数えきれないほどの武力衝突は、数ある和平会談の機会を脱線させました。これらの多くの挑戦の克服は、より大きな成功を導きました。またこの達成は、国とミンダナオの人々の大きな願望である持続可能な解決策を模索中の、両当事者の揺るぎない献身さについても語っています。

フィリピン政府とMILFの双方は、現地での停戦と市民の安全に対処する為に、効果的なモニタリングの仕組みを確立することが極めて重要であると、認識しています。これにより、和平会談において最も主要で議論すべき問題について、和平団が集中して解決を模索する為に必要なスペースを提供するでしょう。合意への署名はこれらの問題に対する解決が成し遂げられた、証明でもあるのです。

バンサモロ地域が新自治区として完全に機能するまで、いくつかの段階がまだ残っています。それにはバンサモロ基本法の起草と批准も、含まれています。しかしながら、バンサモロ新自治区の基盤は準備され、将来は明るいものです。ミンダナオの市民社会のベテラン的リーダーでありNPフィリピンの諮問委員会の議長でもあるGuimal Alim氏は、「これは長きに渡るバンサモロの民族自決の闘争への、最初の勝利であります。この政治的な利得は、バンサモロ地域の社会経済生活を改善する為にも持続しなければなりません。NPのような組織の役割は、この目的を達成する為にも、非常に重要なのです。」と述べました。

2007年よりNPはミンダナオで積極的に和平プロセスを支援するために、活動してきました。当初NPは、人間の安全保障を改善する取組を促進するために、地元の市民社会によって招待されました。これは特に市民保護と人権問題に、積極的かつ非暴力的な手法を用いることでした。2010年にNPはMILFとフィリピン政府の和平団により、国際監視団の「文民保護コンポーネント(CPC)」に参加するという特権を与えられました。国際監視団は停戦監視に従事すると共に、人道的及び人権への取り組みを監督しています。NPはCPCの一員として和平プロセスを通し、非戦闘員の安全とセキュリティの保護と、また同時にバンサモロ新自治区の構築にも専念しました。

NPは深い尊敬と心からの祝辞を、和平団へ伝えました。それは、ミンダナオの人々へも、彼らの不屈で勇気ある精神に対しても伝えました。このミンダナオの完全な勝利は、フィリピン一国だけのものではありません。それは、同様な問題に直面している他の多くの国々を助けることのできる、素晴らしいモデルなのです。これは、対話や交渉、献身さが、本物かつ永続的な変化をもたらす力を有するという、素晴らしい助言となります。この合意は、平和のための、本当の勝利なのです。

人権保護を強化

2014年12月10日

NPはミンダナオでの7年にわたる活動を通し、治安の不安定な地域の平和・人権活動家とともに活動し重要な役割を担ってきました。2010年にフィリピン政府平和委員会より国際停戦監視チーム(IMT)のメンバーとして招聘されました。

NPは毎年、ミンダナオで366の監視パトロール、305の停戦監視と人権監視活動を行ない、地元パートナー団体と共にトレーニングも開催し、治安維持に重要な役割をもつフィリピン政府軍やフィリピン警察、そしてMILFに対しても行なわれています。