非暴力平和隊・日本

非暴力平和隊の提案(2000年版)(日本語訳)

1.プロジェクトの目的

常設の非暴力平和隊を組織し、訓練すること。平和隊は、紛争地域に派遣されて、殺戮と破壊を防止し人権を保護することによって、地元のグループが非暴力的に取り組み、対話により、平和的解決を追求できる環境をつくりだすことを目的とする。

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2.はじめに/これまでの経緯

新しい世紀を歩んで行こうしている現在、私たちは大変重要な岐路に立っている。次々と起こる破壊的な武力紛争や野蛮な暴力、たとえばコソボやルワンダ、イラク、東チモールで見られたような惨事を次世紀も止めることができないのだろうか。あるいは終わりがないように見える、繰り返される惨事にとってかわるものがあるのだろうか。

代案はある。紛争地域において「第三者の非暴力的介入」の手法を適用することに成功した、多くの団体の近年の実績に基づく代案である。世界中の約20団体によって行なわれた計画的な非暴力的介入の手法が育っている。ピース・ブリゲイド・インタナショナル(PBI、国際平和旅団)、ウィットネス・フォー・ピース(平和のための目撃者)、クリスチャン・ピースメーカー・チーム、バルカン・ピース・チーム、国際友和会(IFOR)、ヘルシンキ市民会議、インタナショナル・アラート、SIPAZを始め、他の団体が、(「ハイチ正義への叫び」のような)短期的プロジェクトと共に、長期的に取り組んでいる。このようなピース・チームは現在コロンビア、メキシコ、グアテマラ、バルカン諸国、イスラエル/パレスチナ、ニカラグアで活動している。

ピース・チームの発展という点に関して、1980年代は重要な時代だった。80年代に、信仰に基づいたウィットネス・フォー・ピースや一般市民によるPBIなどのたくさんのNGO、非政府組織がグアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、スリランカ、ケベック州(カナダ)で活動を展開した。小さいながらもPBIのグアテマラでのプレゼンス(存在)が、その「護衛的同行」が中心的な人権活動家の暗殺を抑止し、戦場と化した地域社会に小さな「平和のための空間」を作り出すことを支援し、その後の民主的社会やピースプロセスの再開に大きく貢献した。

1985年、GAMのメンバー2人が暗殺されたあと、グアテマラ女性メンバーがリーダーたちに24時間体制の非暴力の護衛的同行をするようPBIに依頼した。グアテマラ市民社会のほとんどは、当時軍部によって完全に破壊され、ほとんどの市民は恐れをなして行動できずにいた。その後4年間PBIは「非武装の護衛」を24時間体制でGAMのリーダーたちに提供した。リーダーたちはもう殺されることはなくなり、勇敢な女性たちは自分たちの活動を遂行することができた。このことは他の市民グループを立ち上がらせ、民主的社会の再建をおこなう勇気を与えた。GAMのリーダーNineth de Garciaはニューヨークタイムス紙にこう語っている。「PBIのプレゼンスのおかげで私は今生きています。これは疑う余地のない真実です。」

このような話は他にもたくさんあるが、この一つのエピソードは、非暴力的介入の可能性を示しているといえる。

しかし、バルカン諸国で戦争が勃発したときに、世界はきちんとした反応をしなかった。いくらかの、各国からの活動家たちがバルカンの人々と共に非暴力的方策を勇敢に展開し、現在でも続けているが、大多数の人たちはNATOの対応を不本意ながら支持せざるを得なかった。一般に知られている唯一の手段は何もしないか、爆弾を落とすしかないという場合に、国際社会のジレンマが増大するということを端的に示している。

地域の非暴力運動に対し、十分で、きちんと組織化された国際的な支援が必要であることがコソボ紛争によって明らかになった。コソボ系アルバニア人大統領Ibrahim Rugovaは1991年の頃からコソボの非暴力運動に対する国際的支援を求めていたが、十 分な反応はなかった。イタリア人の活動家で、バルカンの退役兵のAlberto L'Abateは1995年までに世界各国から1,000人の平和活動家がコソボに来ていれば1998年に勃発した暴力的な事態を回避する重要な役割を演じていただろうと信じている。その活動には護衛的同行、地元の非暴力行動の積極的支援、非暴力で民主的な組織づくりのトレーニングと体制づくりなどが含まれるだろう。非暴力活動家たちは国際的な支援を組織し、地元の非暴力運動へのメディアの注意を喚起し、平和的解決の可能性を目に見える形にすべきだった。

これからやろうとしていることは、常設の、訓練された、非暴力「平和隊」の創設である(おそらく何らかの国際的庇護のもとで)。この平和隊は深刻な紛争地域に派遣され、ルワンダの例のように無視したり、またイラクやコソボのように相手を降伏させるために兵士がお互いに爆弾を落し合ったり、このような言語に絶する、際限のない人々の苦難にいたる道でなく、そのような人間の惨事に対し、全く違う対応の仕方があることを示すことである。

非暴力平和隊は、多くの人が望みながらいまだに実現していない大規模な軍事介入に代わる手法を提唱する。この平和隊は世界中でおこなわれた、主要な平和創造活動を基礎に構築し、平和創造を画期的に新しいレベルに発展させようとするものである。大量殺戮的な暴力の残忍さ、恐怖に対し、戦略的で、団結力のある、効果的な、非暴力的対応を発展させるのに、重要な存在となるだろう。

世界各地の平和運動体が1グループ3人から10人のメンバーの小規模での第三者の非暴力的介入の経験を積み、成功しているので、非暴力平和隊がより大きな規模での仲介を演じることができるのでは、という展望をもつようになった。1994年と95年の二つの国際会議はこのアイデアをさらに発展させるために開かれた。1999年5月、ハーグ平和アピールにおいて、100カ国から集まった9,000人の活動家たちが「平和は人権である」「いまこそ戦争を廃絶する時である」と提案を書いたときに平和隊の概念は飛躍的に発展した。この会合において二人の北アメリカ人、メル・ダンカンとデイビッド・ ハートソーがこの展望を現実のものとするために幅広い基盤をもった支援と組織を構築することを彼らの団体と、個人が取り組むことに同意した。

一年もたたぬ間に、この提案は人々を魅きつけ、世界中で多くの人々の熱意がリストに登録され、その多くの人は豊かな非暴力的介入の経験をもっている。ハーグでの提案は改訂され、議論され、世界至る所の何百もの非暴力活動家、学者、軍退役者、そして政府のリーダーからの批評・意見も受けた。これらの議論が現在の提案の基礎をなした。

「常設の非暴力平和隊を組織し、訓練すること。平和隊は殺戮と破壊を防止するために、そして人権を守るために紛争地域に派遣され、そのことによって地元のグループが非暴力で闘い、対話により、平和的解決を模索するスペースを創造する。」

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3.構想(現時点での見解)

非暴力平和隊プロジェクトのゴールは2つある。

  • 200人の現役メンバー、400人の予備人員、500人の支援者からなる常設の非暴力平和隊を作り、維持するのに必要な組織をつくる。(10年以上かけて2,000人の現役メンバー、4,000人の予備人員、5,000人の支援者にする)
  • 手法としての有効性を飛躍的に増大させるために、第三者非暴力介入の理論と実践を進展させる。(現存のピースチーム、人権・国際そして軍事組織の経験をもとに話を進める)

非暴力平和隊の展望が明らかになっていくにつれて、展望のさまざまな側面に関する重要な見解や追加事項が集積されてきた。この現時点での見解は下記に要約されている。公式の研究結果が出され次第、平和隊の構成はそれに従って変更される。

3-1 関与/介入の基準/平和隊の役割

平和隊は現地の団体または平和的変革・解決のために活動している非暴力運動体の招聘により派遣される。その紛争に関わっているすべての団体・人からの承認を得る努力をする(放置できない極端な状況にあるときは招聘がなくても国際理事会が介入を承認することもできる)。また早期介入が強く望まれる。コソボの女性がハーグ会議で語ったように「平和活動家は暴力が拡大する前に適切な場所に、適切な時にいなくてはいけない。さもなければ、我々はただ失敗の数を増やしてるに過ぎない」。

理事会が派遣の決定をする。派遣されるチームの構成は、派遣先の状況による。関与する際に考慮される基準は下記のようなことである。

  • 平和的変革・解決のために活動している現地の団体の招聘
  • 平和隊がおこなう役割と貢献が明らかなこと
  • 成功する合理的可能性があること
  • (活動を維持する)組織的、物的支援があること
  • メディアの支援(関心)
  • 戦闘員、政府の双方もしくは片方が国際的な圧力に敏感であるという徴候があること
  • その期間中の十分な財政と関与ができること
  • (平和隊の)派遣が地元の平和的解決に向けての努力を増進する、と分析できること
  • (平和隊の)撤退計画が明確にあること

メンバーが派遣されている間の、彼らの家族や友人への個人的、物的、感情的、そして経済的な支援を提供するために家族支援ネットワークを構築するようにする。メンバーとその連れ合いの人は派遣から帰って来たときに、帰還後のことの相談やその他支援サービスを利用できるようにする。

3-2 隊員募集

平和隊は200人の現役メンバー、400人の予備人員、500人の支援者という規模で始まり、6年以上かけて2,000人の現役メンバー、4,000人の予備人員、5,000人の支援者の規模にする。メンバー構成は多民族、世界各国から、多世代の人からなり、さまざまな信仰、精神修養を志向する人たちからなる。平和隊として派遣されているときには全てのメンバーは非暴力と品行を保ち、効果的行動を誓う。人選過程においては、チームワーク、リスニング、コミュニケーション、多文化相互交流、そして危険とストレスに耐えることなどについて、高度の能力を持ち合わしていることを示す必要がある。

現役メンバー全員には給与が支払われる。大学への奨学金の支給や退職金の制度も促進する。ノーベル平和賞受賞者や宗教の指導者、元政府高官などの高名な参加者も特定な状況において募集する。

メンバーは下記のようなさまざまな人々の中から募集する。

  • 様々な団体の元ピースチームのメンバー
  • 退役兵の平和団体のメンバー
  • 女性運動体
  • 軍と法執行官の経験者
  • 宗教的、精神的共同体のメンバー
  • いろいろな非暴力運動の経験者。たとえば人権、民族解放、労働、反戦、女性運動、環境などの運動の経験者。
  • 退職者
  • 元 Peace Corp(平和隊)ボランティアや他の国際サービスの引退者
  • 平和隊で2、3年貢献したいという熱意のある「普通」の人々
  • 地域の世話人
  • YWCA、YMCA、ボーイ・ガールスカウト等々
  • 教師等児童関係の仕事をしている人
  • 母親やおばあさんたち

(以前より若い人たちや年配者のあいだに平和活動に対する強い関心があるので、彼らもこの活動に歓迎する)

3-3 訓練

複雑な紛争状況においては高度な能力が要求される。平和隊の現役メンバーは非暴力の歴史と理論、非暴力ピースメーキング、異文化理解、リスニング、調停技術、 そして紛争転換に焦点を当てた2か月間の綜合トレーニングを受けます。さらに、紛争地域に入っていく準備に焦点を当てた軍事訓練モデルを利用する。

続いて派遣先により焦点を当てた言語、文化、紛争の分析と平和的介入の適切な手段についての議論を含む2か月間の特別トレーニングを受ける。この段階のトレーニングのすべてあるいはいくつかは、派遣先で現地のピースメーカーと共同で行なわれる。

護衛的同行、紛争転換、調停を含むさまざまな手法についての上級トレーニングも提供される。全てのメンバーには継続的な学習が要求される。

3-4 派遣

特定の戦略による明確な任務と、紛争地域に適応させた明確な目的が、派遣の前に策定される。戦略と戦術は暴力あるいはその可能性を減少させ、平和で正義にかなった解決のための環境を創造し、現地の平和・人権活動家を力づけるように立案される。戦略は柔軟に考え、目撃者の提供や人権侵害の記録をするのみでなく、どんな成果が得られたかに焦点をあてる。紛争地域に送られるチームの構成は現地の状況の特性に応じて決められる。

現地にいる間は、平和隊は国際社会の目、耳、そして良心としての働きも行なう。戦術は、現地の非暴力活動家と共同で作成・遂行され、理事会と連絡をとりながら、平和隊現地リーダーチームによって決められる。

介入の手法は下記のようなものである。

  • 同行(活動家、リーダー、難民の帰還、平和(非武装)地帯の人々)
  • 対立関係にあるグループの対話促進
  • 監視(選挙、停戦、協定)
  • 紛争転換のトレーニング並びにトレーナーのトレーニング
  • 紛争当事者間の仲裁(間に物理的に割って入って駐留する?)
  • 現地の平和活動を支援し、暴力と人権侵害を防止するために国際緊急対応ネットワークを提供する
  • 流言を調査・コントロールする
  • 国内的・国際的に偏見のない情報を促進する
  • 市民のための安全地帯をつくる

平和隊全般の行動と同じく、各々の任務には少なからぬ支援が必要である。事務局員、広報活動専門員、医療従事者、紛争解決専門員、チームビルダー、旅行計画担当者、調理師、運転手、パイロット、資金調達担当、現地に詳しい人、政府または組織との連絡担当者などが必要である。状況によっては、通訳も必要である。(軍隊は戦場で兵士一人当たり10人の支援要員がいる)

3-5 撤退

全てのケースにおいて、居残ってさらなる和解や再構築への支援を求められない限り、平和隊は、可能になり次第、彼らの任務を現地のグループに引継ぎ、緊張の緩和が許し次第、現地を離れる。

3-6 メディアと広報

優れたメディア活動と広報活動は非常に重要である。世界は暴力に対処する新しい手法を渇望している一方、この手法を冷笑し懐疑の目で見ているかもしれない。非暴力平和隊は記録を残し、非暴力による平和創造の希望と約束を世界に向けて発信していく必要がある。誠実さ、強さ、希望そして有効性というものを一般の人々に具体的行動と共に意味あるシンボルとして伝える優れたイメージを創らなくてはいけない。メディアとの信頼できる関係をつくりあげないといけない。平和隊が一旦派遣されればメディアが平和隊にとっての生命線となるからである。暴力的な態度を抑止させるために、記録することを援助するために、技術の創造的利用法を見つけ出さなくてはいけない。

我々の広報計画には現役・予備人員・支援者の3つのレベルすべてに、さまざまな国から参加してもらうための戦略も含まれている。

下記の目的のため、ウェブページは更に充実させ維持する。

  • 非暴力平和隊の使命(任務、目的)と活動内容を伝える
  • メンバーの募集
  • 資金調達
  • 現地からの生放送
  • メンバーに自分たちのできる支援活動を知らせる
  • 非暴力の戦略と介入についての新たな発展について議論する
  • 当面の課題について、議論のための機会を与える
  • 各地の平和隊支援グループを促進し、支援する
  • 他のピースチーム団体とつなげる

非暴力平和隊の最大の貢献は、世界各地の非暴力運動への国際的な関心と支援を構築し、武装(軍事)介入に代わる手段への希望と実現性を示したことになるだろう。

3-7 報告と評価過程

平和隊の各任務の終わりになされる慎重に考案された評価過程がある。平和隊の作戦に導入される成果検討のメカニズムは、一つ一つの経験を積み重ねることによって、第三者非暴力介入の科学は前進することを確実にするために構築される。

3-8 政府機関との関係

各国政府機関および多国間の行政機関との関係を築き、維持することは平和隊を成功させるためにきわめて重要である。政府との関連事項としては財政支援、ビザ発給と外交的圧力をかけることなどが含まれる。また、政府との関係は重要であるが、平和隊の意思決定過程はそれらから独立したものでなくてはならない。平和隊はすべての政府から独立している。

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4.基本的理念/課題

非暴力平和隊が誠実にその展望を実践していく上で重要な、基本原則がある。これらの原則は下記のものである。

  • 平和隊に参加期間中の積極的な非暴力行動を誓約する
  • 民主的合意形成過程がリーダーたちの中に確立している
  • 平和隊の発展、派遣、人事、統治などのあらゆる側面において多文化的・多様性のある視点が構築されている
  • 非暴力と紛争の平和的解決を実践し、積極的に非暴力と思いやりの価値観によって生活を実践する男女から指導者性は出てくる
  • 地元グループと協調と友情のもとで働くことを誓う(「私たちの方が知っている」という態度は慎むこと!)
  • 可能なかぎり地元主導の決定を

取り組む必要のある幾つかの重要な課題がある。

  • 現在ピースチームを編成している20以上の団体の経験をいかに統合し、効果的に活かすか。
  • 世界の他の平和団体とどのように協力的に相互に支援的な方法で活動するか。
  • 現在の軍事作戦の知識をどう有効活用するか、そしてその知識を使ってどうやって平和隊の発展を促進するか。
  • 素早く、しかも合意形成を徹底する国際団体をつくり、運営するのに、何がもっとも効果的な方法か。
  • 「平和帝国主義」に陥るのをどのように回避するか。「アメリカ・ヨーロッパ中心」主義的にならないためにはどうしたらいいか。
  • 平和隊意思決定機関にリーダーとしてふさわしい有力な女性をいれるには、何が一番いい募集方法か。
  • 平隊の政府、軍事組織、国際組織との関係はどのようなものになるか。

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5.進行予定(成果と日程)

非暴力平和隊のゴール、すなわち「2003年までに200人の現役メンバー、400人の予備人員、500人の支援者、そして2010年までに2,000人の現役メンバー、4,000人の予備人員、5,000人の支援者」にするために、他グループと協調してやることが数多くある。

私たちは現在4つの「進展段階」に分けて活動を考えている。
すなわち調査・立案、試験的試行(パイロットプロジェクト)、評価、派遣である。平和隊の実際の展開は、第一段階において行なわれた調査の結果にかかっている。

第一段階の終わりに、調査結果によって、続く3段階に進むか否か決定される。さらに、パイロット・プロジェクトの使用(効果)は議論の最中であり、結論はまだ出ていない。

各段階の展開(もし順調に進んでいけば、だが)は、下記のように進んでいく。

5-1 調査・立案

2年の間、平和隊プロジェクトの最初の焦点は、大規模な非暴力介入を組織することの可能性についての広範な調査である。数ある課題の中でもこの段階では2つの重要な課題が追究される。

  • 非暴力介入の最も成功した例は何であったか(そしてあまり成功しなかった例から何を学べるか)。
  • 常設の「平和隊」の組織的モデルとしてどれが最もよいか。

調査は、歴史的な記録とともに、適当なタイプの第三者介入の参加者の経験にかなり頼ることになる。そして少なくとも4つの領域に焦点をおく。

  • 紛争の状態とどのような状況下で第三者非暴力介入が適切で役立つか、という類型化
  • 軍事介入や人道的援助よりピース・メーキング・チームの方が役に立つ役割を特定化する
  • 介入並びにその支援の成功例(人員募集、政府との関係、メディア関連、物的支援、等)
  • 最新のトレーニング方法、利用可能なトレーナー、トレーニングプログラム

調査結果は、役割、過程、合意形成、運営過程など、平和隊の組織案作りに利用される。

巻末の付録Aに立案段階で取り組まれる疑問点と課題の詳細リストがある。

5-2 パイロット・プロジェクト

平和隊が立案され、その役割が明確に理解されれば、大規模介入への実験の第一段階としてパイロット・プロジェクトがおこなわれる。このプロジェクトを行なうために最終的な平和隊案の全てでないにしても多くが機能して(「パイロット・プロジェクト」版として)ないといけない。

この段階の目的は大規模非暴力介入の有効性を示すだけでなく、この「試験」をとおして全ての支援プロセスを試すことである。関係者全員に対する危険を最小限にするために、この時点において予期せぬ問題に対応して、「即応」メカニズムが機能していることが大切である。

5-3 評価

パイロット・プロジェクトに続いて、詳細な評価をおこなう期間を設ける。パイロット・プロジェクトからの反省をもとに平和隊案を発展させる。必要ならば、本格的な派遣の前にもう一回のパイロット・プロジェクトが行なわれる。

5-4 派遣

この段階で、平和隊は完全な形で機能している。この段階では任務が効率的に行なわれ、継続的に研究され、第三者非暴力介入の「科学」を引き続き発展させることに力点が置かれる。平和隊の組織内の成長もこの段階では期待される。

次は、各段階が完了したときに期待される具体的成果の概観である。

   
[段階] [期待される成果]
調査・立案
  • 全ての調査完了
  • 具体的プラン完了(何を/どのように/誰が)
    • 組織構成
    • 介入の基準と合意形成のための手続き
    • 人員募集プロセス
    • トレーニング・プログラム
    • 派遣プロセス
    • 「撤退」プロセス
    • 評価プロセス
    • メディア対策
    • 長期的資金調達計画とプロセス
    • 広報プロセス(ウェブ・サイト等)
    • systemsとtoolsの詳細
    • 成功事例ハンドブック
  • 国際理事会の設置
  • 主要事項の最終決定
    • 進めるか/進めないか
    • 組織の「本部」
    • パイロット・プロジェクトの実施地域
  • 具体的な事務所の場所と運営システムの確定
  • パイロット・プロジェクトの実行プランの完了
  • 全てのパイロット・プロジェクトプロセスの確立
  • パイロット・プロジェクト段階と評価段階の運営組織設置
  • パイロット・プロジェクト段階の主要スタッフを雇用
  • 注意喚起キャンペーン「完了」
パイロット・プロジェクト
  • パイロット・プロジェクト用の平和隊人員募集
  • パイロット・プロジェクトの介入実践
  • 主要な平和隊プロセスとシステムの「試験」
評価
  • 評価作業の完了と出版
  • 評価の結果を受けての平和隊プロセスの改訂
  • 平和隊設置
    200人の現役メンバー
    400人の予備人員
    500人の支援者
  • 調査/評価作業の継続
  • 発展へ向けての立案完了(最終的規模までいかにして拡大するか)
派遣
  • 平和隊の成長
    2,000人の現役メンバー
    4,000人の予備人員
    5,000人の支援者
  • 評価作業を継続しながらの多様な任務完了
  • 最終的な組織の「本部」と運営形態の確立

プロジェクトの全ての段階を通して、下記の領域での継続的作業がおこなわれる。

  • 組織としての発展
  • 財政計画/予算立案
  • 資金調達
  • メディア対策
  • 政府役人、国際組織、そして他のNGOとの連絡維持
  • 評価、フィードバック、改善
  • 人員募集とトレーニング

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6.資金調達

定員の予備人員、支援者と共に2,000人の現役メンバーが一つの作戦を一年間実行するのにおよそ7,000万ドル(約70億円)から8,000万ドルかかる(世界で軍事に1時間に費やされる費用よりも少ない?)軍事介入や戦争に代わる、目に見える代替手段にかかるささやかな費用である。

2年間の調査・立案段階で、予備調査と発展に1年当たりおよそ35万ドル(約3,500万円)の予算を見込んでいる。200人の現役メンバー、400人の予備人員、500人の支援者の平和隊を設置するために、初期投資はおよそ800万ドル(約8億円)必要である。

初期資金調達は財団、宗教団体、個人、そして、いくつかの政府に依頼するつもりである。この段階に、より広範囲で、長期的な財政支援の基礎を築く。

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7.プロジェクトの現状/暫定的事務局体制

非暴力平和隊は現在、世界中の非暴力運動を支援している、サンフランシスコにある非営利団体ピースワーカーズのプロジェクトになっている。1999年5月のハーグ集会以来、非暴力平和隊プロジェクトの専従として二人のスタッフがいる。ピースワーカーズの専務理事デイヴィッド・ハートソー、平和隊プロジェクトのディレクター、メル・ダンカンである。

デイヴィッド・ハートソーとメル・ダンカンは6か月間、各地を回り、1,000人以上の活動家、学者、軍関係者、そして政府役人に会い、情報を集めた。2000年1月、彼らはボランティアとアフィニティグループのメンバーの募集を始め、常設の非暴力平和部隊の考えに幅広い層の支持を得るために必要な支援をしてきた。現在100人のボランティアとアフィニティグループのメンバーが、(ミネアポリス・セントポール、 サンフランシスコ沿岸地域、カナダのオタワの)3つの地域を中心に集まっている。

2000年4月、プロジェクトの暫定的な運営責任を遂行するために7人による運営委員会がつくられた。運営委員会の差し当たっての任務は
1)平和隊の概念的指針と根底をなす原則の改訂をしていくこと
2)プロジェクトの調査・立案段階の作業を監督すること
3)国際非暴力平和隊の組織としての基盤を築くこと<
4)資金を調達すること
である。

なかでも、早急に、最も重要なのは、国際共同創設者の核となるに適したグループを見つけ、依頼することである。これは暫定運営委員会から各国からの代表者でつくる理事会への移行を念頭にしており、この理事会は平和隊の長期的運営に責任をもつことになる。理事会は平和隊を派遣するに先立ち、作戦と戦術に対する明確な権限もつ、現地での指導(責任)体制を確立する責任をもつことになる。

調査・立案段階で、主要な問題の助言を求め、平和隊の知名度を高め、資金調達を支援してもらうためにノーベル平和賞受賞者や元政府高官、宗教的リーダーなどの世界的に著名な市民によって構成される諮問委員会が設置される。

現在のところ、17万ドルが集められた。翌2年間の立案作業の資金のための補助金の申請書が用意され、提出された。

賛同はすでに100以上の団体とリーダーたちから受け、増え続けている。

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8.結論

積極的な非暴力行動に対する気運は世界中で盛り上がっている。非暴力ピース・チームその他の行動の経験を積み上げて、この活動を劇的に新たなレベル、地球上の紛争に対し適切に対応することができるレベルまでに高めることができる。

ガンディーが最初に「平和隊」を夢見た時以来、その展望はゆっくりと実現に向け成長してきた。多くの非暴力運動の経験者たち、何千という市民が暴力と抑圧を勇敢に止める意欲を示してきた。難問に立ち向かい、教訓を学び、私たちの組織としての能力も高まり、優秀なトレーナーにも恵まれ、インターネットは地雷禁止キャンペーンや国際刑事裁判所の設立でその有効性を示した。最も重要なことは、世界の人々が紛争への懲罰的で、軍事的な、そして費用のかかる対応とは違う方法を望んでいることである。

進行した大規模な紛争に対し、非暴力の手法を適用することについて一筋縄ではいかない課題も残る -- しかし、さらに答えに窮する疑問が、「平和のために」軍事力を使うことに依存してしまっていることに対して、厳しく投げつけられている。今まさに暴力と戦争を防止し、終らせる道を歩むために私たちのエネルギーを捧げる時である。その道はすべての命を尊重し、人間の運命が平和的に発展していくという希望を与えてくれる。

力を合わせれば、非暴力平和隊を現実のものとすることができる。「国連世界の子どもたちのための平和の文化と非暴力の10年」を祝福するこれ以上のことはないのである。

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付録 調査課題/立案課題の詳細

関与/介入基準/平和隊の役割

  • 介入の基準は何か。またいつ、誰により、どのようになされるか。
  • どんなモデル、シナリオが平和隊の潜在的役割を説明・例証するか。
  • 大規模第三者非暴力介入が適切で役に立つ、あるいはたった紛争状況の例は何か
  • どんなゴールを達成するために、どんな状況下で、介入のどんなモデルが使われるべきか
  • (平和隊を)招いてない紛争当事者が1つあるいはそれ以上のいる時に、その紛争地域にチームは入っていくべきか
  • 一方が明らかに攻撃者と見られる紛争で、非同盟・中立の立場をいかに維持するか
  • 調停や「good office」に反対されたとき、どの時点で当事者間に物理的に(体をはった)介入することが適切か
  • どんな状況下で平和隊は成功する可能性が高いか
  • 介入する「一番良い例」は何か
  • 平和隊と比較して、紛争地域の地元グループの責任は何か
  • 地元グループとの関連で、平和隊の役割は何か。武装平和維持軍との関係では? 人道援助チームとの関係では? 他のピースメーキンググループとの関係は?
  • 「早期警告システム」が発展していくなかで、平和隊はどんな役割を演じるべきか
  • 早い段階での警戒信号に対して、平和隊はどのように最善の反応ができるか
  • 府や国際団体、軍事組織、メディアに関し平和隊はどんな関係でいるべきか
  • もしあるとすれば平和隊と他の団体との関係のモデルにできる「最良の例」はあるか
  • どのように介入の決定はされるか
  • 誰が最高意思決定権を持つか
  • 平和隊が成功するために、どのくらいの早さで決定はされなくてはいけないか
  • それぞれの派遣、特定の紛争に適応した具体的な戦略、目的、戦術の計画はどうあるべきか

隊員募集/訓練

  • 平和隊のメンバー、予備人員、支援者の募集(採用)基準は何か
  • 平和隊参加者にどの程度の危険(負担)を求めるか
  • 平和隊のメンバー、予備人員、支援者の募集戦略は? 募集の「最良の例」は?
  • どんなトレーニング・プログラムがあるか(利用可能か)
  • どんなトレーニング・プログラムを作る必要があるか
  • 平和隊の派遣へ効果的参加をさせるための「最良」のトレーニングプロセスは何か
  • どんな言語トレーニングが必要か
  • メンバーが派遣の「準備ができた」とどのようにして判断することができるか(トレーニングが完了したというだけでは、そのメンバーが準備ができたと「保証」するには充分ではないかもしれない)。また誰がこの決定をするのか
  • 関与しているすべての段階(候補者、現役メンバー、過去のメンバー)で人事情報を追跡、管理するためにどんなシステムが必要か

派遣

  • 平和隊任務による派遣を支援するために要求される人・供給物資等の資源、物資は何か
  • 介入にはどんな支援が必要か(財政、物資、人事、政治的事項、緊急反応システム等)
  • (人々を移動するのに)どんな手段が必要か
  • 物資を移動するのにどんな在庫管理システムが必要か(購入、在庫管理、輸送等)
  • 任務中の通信プロセスにはどのようなものが必要か(誰が、どのくらいの頻度で、何について、等)
  • 任務中の通信システムにはどのようなものが必要か
  • 紛争地域にいる時とそのあとに、平和隊のメンバーとその家族のためにどのような支援を提供したらいいか(相談、保険、個人的支援)

撤退

  • 撤退の基準は?
  • 撤退のプロセスは? どのように、誰によって、いつ?

メディア/コミュニケーション(一般市民への啓蒙と広報)

  • 平和隊任務にとってメディアのどんな支援が必要か
  • 誰が潜在的読者か(政府、メディア、一般市民、NGO 等)
  • 第三者非暴力介入の成功事例がどのように記録され、世界で共有されるか
  • 将来起きる紛争の解決策リストに、非暴力的代替手段が載せられるようにするために、どんなメディア戦略が追求されるか
  • 我々が活用できる新しいメディアは何か

組織の発展

  • 世界のすべての地域のリーダーたちを巻き込めるよう、平和隊の組織を拡大するのに何が最善の方法か。どのようにその最善の方法をおこない、効果的なワーキングチームを作り上げることと同時に、さまざまな(団体、人からの)提案を受け入れることのバランスを保つことができるか
  • 効果的な「国際創設者」といえる基準は何か
  • 強力な「国際創設者」を見つけ、採用するプロセスはどのようにするか
  • 平和隊は新しい組織を必要とするか。どんな目的で?
  • 平和隊が同居することができる効果的な組織の基準は何か
  • 平和隊が同居することができる現存する組織はあるか
  • 平和隊の構成はどのようなものか(役割、責任、情報提供関係、意思決定過程、 手段)
  • どんな組織構成と合意形成過程がもっとも適当か、幅広く意見を包含する努力はどのようにするか・緩やかな提携関係の地域分散型(脱中央集権)組織であるべきか、一箇所に位置する中央集権的構造であるべきか
  • 現地派遣チームにどの程度の決定権が、現実的に与えられるか
  • どんな設備・備品が必要か

技術支援/システム

  • 平和隊のすべての過程と側面を支援するために必要なシステムと手段は一体何か。これらの過程と側面を支援するためにどんなタイプの技術・技能が必要か

報告/評価プロセス

  • 「成功した」といえる基準は? 結果を判断するために成功のどんな徴候・証しが使われるか
  • 各派遣のあとの報告・評価プロセスはどんなものか、そしてこれが「成功したといえる」のに役立つか
  • 「帰還報告・報告への評価」プロセスはどんなものか、この情報からどのように満足の行く解釈を醸し出すか
  • 各経験からどのように教訓を最大限得るか、そして平和隊の継続中の作戦に活かしていくか(トレーニング、介入、派遣)
  • 大規模紛争や潜在的暴力を非暴力的手段によっていかに緩和するか、ということの理解を進めるために、「調査」プロセスをどのように継続的するか
  • そして我々が「大規模」紛争と呼ぶところのものをどう明確にするか

パイロットプロジェクトの執行計画

  • パイロットプロジェクトはどんな状況で、どこで、遂行されるか
  • パイロットプロジェクトにとって介入/派遣/撤退計画とは何か
  • どんな成果を期待してるか、パイロットプロジェクトの目的は何か
  • どんなものが必要か(財政、人事、物資、政治的事項)
  • どのようにこれらのものを得るか
  • パイロットプロジェクトで「平和隊案」のどのプロセスが試されるか
  • パイロットプロジェクトの評価プロセスはどんなものか
  • 平和隊の本格的派遣の基準は何か
  • さらなるパイロットプロジェクト/実験が必要である、ということを示すためにどんな基準が使われるか

△非暴力平和隊の提案(2000年版)(日本語訳)/TOPへもどる