非暴力平和隊・日本

スリランカ通信(13)2004.2.1

スリランカ通信13号/坊主頭1周年

2004年2月1日
大島みどり

この通信は私の個人的な感想や考えを述べたものであり、Nonviolent Peaceforceあるいは非暴力平和隊・日本の公式見解を示すものではありません。転載・転用をご希望の際は、筆者あてご連絡ください。

みなさま、こんにちは。
早いものでもう2月、スリランカに来てから4ヶ月が経ちました!

前にも書きましたが、季節が(知覚するほど)まったく変わらないので、4ヶ月が経ったとは到底信じられません。こんな調子で2年間経ってしまったら、どうしよう?と思います。(どうもしようがありませんが…)

スリランカ全土の水不足はかなり深刻なようです。米・野菜農家の被害も広がっているようで心配です。近頃やたら頻繁にそれもけっこう長く続く停電に、水不足、そして食糧不足となったら、どんなことになるのでしょう。

もちろんここマータラでもほとんど雨は降りません。先日雨が降り始めたときには、チーム・メイトのRitaが"lovely rain!"と言っていましたが、1時間もせずに止んでしまいました。昨年の5月にはマータラの北部は洪水の被害を受け、いまもまだ道路の修復が続いているというのに、ほんとうに皮肉なものです。

NPの力でも、たぶん誰の力でもどうしようもないことですが、せめて洗濯した後の水を流さずにバケツにとっておいて、トイレを流す際に使うことくらいしか、いまのわたしにはできません。笑っちゃうような話ですが、偉大な自然の前には、なすすべもないと感じる毎日です。

さて、きょうはわたしの記念すべき(?!)日について書かせていただくことにします。

頭を丸坊主にして1年が経ちました。去年の1月31日、米国オレゴン州のポートランドでプロセス・ワーク(心理学)の5週間の集中コースを受けていたときに、クラスメイトでこんなヘア・スタイルをしていたサラという若い女性に頼み込んで、センターのトイレ(個室だけど、いまのわたしの部屋の半分くらいもある)で、バリカンで刈ってもらいました。それも休み時間の10分くらいの間だったので、日本人のクラスメイトはもちろんのこと、周囲の人をあっと驚かせてしまいました。なぜ坊主頭にしようと思ったのか、そのときはよくわかりませんでした。サラの頭を見た時に、なぜかとても惹かれたのです。彼女にそう話すと、「刈ってあげるよ。でも23日ちゃんと考えてからにしたほうがいいよ」と言われたのですが、もうどうしようもなくやってみたくて、でもとりあえず気が変わらないことだけ23日確かめて頼みました。

今でも、どうしてなのかうまく説明できるような理由はないのですが、なぜかこれが正しい選択だったとしか思えません。正しい、というのもおかしな話ですが、うまいことばが見つかりません。切ってからクラスメイトに「いままでの髪型が間違っていたのよ。これが正しかったのよ!笑顔がよく見えるようになった」と言われましたし、この話を知らない別の友人で、わたしが髪を切っていたことを知らなかった人から、「NPのウェブサイトを見てびっくりしたけど、以前よりずっと笑顔が輝いているから、きっと充実した毎日を過ごしているのでしょう…」といったメールをいただいたときには、「そうなんだー」と他人事のように、感心してしまいました。もちろん笑顔ばかり見せられるとは限らないし、しかめっ面もしているはずですが、それでも不思議なものだとつくづく思っています。

実際、なにかが違うのです。これもうまく説明できません。

とても感覚的なもの、心理的なものですが、こころが少し軽くなったというか、明るくなったというか…。大変なこと、難しいこと、辛(つら)いこと、悲しいことがあっても、それはそれとして受け止められる、泣いても、嘆いても、叫んでも、怒っても、それでいいよ、とじぶんに言ってあげられる、そんな許可をじぶんに与えたような、そんな感じです。もしかしたら勉強していたプロセス・ワークの効力?という可能性も十分にあります。でもなんとなく、それだけでなくて、このヘア・スタイルに到達する時期がやっと来たのかな、水中セラピーや自然農、パーマカルチャー、瞑想、プロセス・ワーク、その他いろいろなことを勉強してきて、(どれもまだ始めたばかりだけれど)やっとじぶんがどうあると、生き易くなれるか、少しだけわかってきたのかもしれないと思います。

ほんとうはもっとたくさんのことを感じています。子どものころにさかのぼるくらいいろいろなことがつながっているように感じます。でも、これこそ笑っちゃうようなとりとめもない話になるので、きょうはここまでにします。

そんなわけで(?)、しばらくはこのヘア・スタイルをキープしたいと思います。また新たなトランジション(心境の変化)が来るまでは。

でもとにかくやっぱりこのヘア・スタイルはスリランカ人の目を点にしてしまうようで、ジロジロ見るくらいならともかく、自転車に乗った人たちが前を見ずに、わたしを眺め続けるのには参ります。危ないし、第一わたしの通行の妨げです。そうでなくても危ないスリランカの交通、「よそ見しないで、さっさと行ってよ〜」と叫びたくなるのを、ことばができないのでがまんします。本当にやっかいです。

1周年の昨日、マータラの自宅トイレで、じぶんでバリカンを使って刈ったばかりの頭で、きょうは書かせていただきました。

それではまた。

大島みどり

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