非暴力平和隊・日本

スリランカ通信(64)2005.11.5

スリランカ通信64号/ドイツ・スピーキング・ツアー

2005年11月5日
大島みどり

この通信は私の個人的な感想や考えを述べたものであり、Nonviolent Peaceforceあるいは非暴力平和隊・日本の公式見解を示すものではありません。転載・転用をご希望の際は、筆者あてご連絡ください。

みなさま、こんにちは。ドイツ中西部のグーティンゲンという町からお便りします。こちらのきょう正午ころの気温は12度。おそらく日が当たっていた昼間はもう少し上がっただろうと思いますが、東京の12月初旬〜中旬ほどの気候でしょうか。ドイツも温暖化のせいか、わたしが到着する前の週までは、半そでのシャツでも過ごせたようですが、どうやら通常の11月の気候に戻りつつあるようです。『11月グレイ』という表現があるそうで、雨がちの毎日です。

みなさまにお伝えせずに申し訳なかったのですが、10月24日夜から31日朝まで、日本に一時帰国していました。ドイツ行きの準備で忙しかったので、お知らせする間もありませんでしたが、非暴力平和隊・日本の東京での月例会にだけ参加させていただき、数名の方にごあいさつ申し上げました。

前回のスリランカ便り(10月16日:スリランカ便り63)で少しだけ触れましたが、今回のドイツ訪問は、ドイツの非暴力平和隊のメンバー団体が企画した、スピーキング(講演)・ツアーに招聘されたものです。ドイツ側から、ドイツ人以外のフィールド・チーム・メンバーを希望するという要請があったため、わたしに声がかかりました。10月31日に長旅の末、ミュンヘン経由でフランクフルトへ到着、11月2日にここグーティンゲン(フランクフルトから高速列車で1時間40分ほど北の大学のある町)へ移動しました。ドイツ出発まで忙しく、講演内容についてはほとんど準備できない状況だったので、フランクフルトでは1日缶詰状態で原稿を準備、またこちらへ移動してからも、昨日(4日)の第一回目の講演まで多少の時間があったので、打ち合わせやインタビュー以外の時間を、コンピュータに向かって過ごしました。

ドイツには非暴力平和隊・ドイツという組織はありませんが、非暴力平和隊のメンバー団体がいくつかあり、そこが中心となり、資金援助を得ながら、今回のツアー(プロジェクト)を企画・運営しています。このプロジェクトのために、コーディネータがひとり(14ヶ月の契約で)雇用され、彼とメンバー団体で働くひとりの女性が中心となって、5都市(5回)の講演が予定されています。わたしは、グーティンゲンの郊外、いかにもヨーロッパの閑静で牧歌的な田舎町にある、その女性のご家庭に、数日間お世話になっています。きょうと明日は講演会もなく、久しぶりにゆったりとした時間がとれそうです。来週は、月・火とほかの都市を回り、水曜にこちらに戻って来た後、再度木・金はほかの都市を訪問します。

昨晩の講演会には、15名以上の人々が集り、オーガナイズしてくれたふたりのコーディネータも、比較的満足のいく会になったようです。2時間の時間枠で、1時間は質疑・応答、そして残りの1時間を、通訳付きで講演という指示だったので、結局わたしが話せる時間は30分程度となり、これではいくら人前で話すのが苦手なわたしでも、非暴力平和隊の説明から、スリランカの紛争の経緯、政治状況、そしてフィールドでの活動までを説明するには、あまりに短すぎると、緊張していたのですが、途中で通訳なしでもOKという声が上がったため、時間的に少し余裕が持てました。それにしても、肝心のフィールドでの活動を報告するためには、ある程度の背景(どうしてこういう活動が必要なのか、どんなことが問題なのか、など)を、参加者に説明しなくてはなりません。が、わたしの2年間の体験を1時間に凝縮して話すわけですから、部分的に説明不足になってしまうのは、やむを得ないことかもしれません。わたしの話しで聴き足りない部分は、質疑・応答部分で参加者が自らが、わたしの補足をうながしてくれるでしょう。

なにせ人前で話す(なにかする)ことが苦手なわたしですから、今回のツアーは、決して楽ではありません。でも、苦手だからこそ役に立つ部分もあるかもしれません。つまり、わたしの話は単に「きっかけ」に過ぎず、大切なのは、そこから非暴力平和隊がスリランカや世界でしようとしていること、あるいはもっと大きく、わたしたちはどうやって「平和」を作り上げていくか、わたしたちひとりひとりがどう、その活動に関わっていくか・・・そんなことを、考え、共有(シェア)する場・機会を作ることなのだと思います。わたしがひとり、カッコよく講演しても(もちろんそんなことはありえませんが!)、なんの役に立つでしょう?

そんなわけで、プレッシャーを感じながらも、この機会を楽しみたいと思っています。ドイツの人々がどのようなことを感じ、考え、話すのかということにも、とても関心があります。機会があれば、そうしたご報告も、みなさんにできればと思います。

13日にフランクフルトを出発、日本経由で15日深夜にスリランカに戻ります。スリランカの大統領選挙監視活動に参加したかったのですが、到着が遅いため、非暴力平和隊の協力団体であるPAFFREL主催の国際監視団の活動には、残念ながら参加できないことになりました。

それでも、非暴力平和隊・日本から選挙監視活動に参加する方々、そして米国から同じく選挙監視活動にやってくる友人との再会を、楽しみにしています。また選挙後は、津波被災者支援援助の関係で、南部等を、再訪したいと思っています。

時間があれば、ドイツ出発前にもう一度お便りしますが、それが無理な場合は、おそらく次回は、スリランカからお便りできると思います。それまでみなさま、どうぞお元気で。

大島みどり

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